ロボットの「アバター」で宇宙ビジネス開拓 ANAとJAXAが「AVATAR X Program」開始 19年から実証実験
ANAホールディングスと宇宙航空研究開発機構(JAXA)が宇宙関連事業の立ち上げを目指すプログラム「AVATAR X Program」を開始した。
ANAホールディングスと宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9月5日、宇宙関連事業の立ち上げを目指すプログラム「AVATAR X Program」(アバターエックスプログラム/以下、AVATAR X)を開始した。ロボットを遠隔操作する技術を活用し、宇宙空間での建設事業や宇宙ステーションの運用、宇宙空間におけるエンターテインメントなど関連事業の創出に取り組む。
AVATAR Xでは、ANAグループが構想している「AVATAR」技術を活用する。AVATARは、ヘッドマウントディスプレイや触覚デバイスを装着した人間が離れた場所にあるロボット「アバター」を操ることで、あたかも自分がその場所にいるかのように活動できるというもの。VRやロボティクス、センサー、ハプティクス(触覚)などのテクノロジーを用いて実現する。
AVATAR X Programは、人の行き来が難しい宇宙空間でAVATAR技術を活用し、新たな宇宙開発と関連事業の創出を目指す。まずはコンソーシアムを立ち上げて研究開発ロードマップと事業性を検討する。2019年には大分県の技術実証フィールド「AVATAR X Lab@OITA」(アバターエックスラボアットオオイタ)で地上と地上をつないだ実証実験を開始。2020年代には地上と宇宙ステーション(地球低軌道)で、将来的には月面や月の周回軌道、火星でも実験を行うという。
AVATAR X Lab@OITAでは、実証実験に必要な通信環境や研究設備を整備する他、将来人類が宇宙空間で生活するために必要な事業についても検証を進める。
9月6日時点でAVATAR Xには28社3団体が参加を表明。今後も新興企業や異業種を含め、産官学から広く会員を募集するという。
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