サイバーエージェント、営業利益を100億円下方修正 コスト増大で「計画に狂いが生じた」
サイバーエージェントが、2019年度の営業利益の見通しを100億円下方修正すると発表。売り上げを上回るペースで各事業のコストがかさんでいたため、収益構造を見直す。
「17年ぶりに下方修正した」――サイバーエージェントの藤田晋社長は1月30日、同社の決算説明会で、2019年度(18年10月〜19年9月)の営業利益見通しを300億円から200億円に下方修正すると発表した。「売り上げ規模の拡大を上回るペースでコストがかさみ、計画に狂いが生じた」(藤田社長)。収益構造を見直し、立て直しを図る。
藤田社長によれば、コスト膨張に気付いたのは2018年7月。継続的に進めていたAbemaTVへの投資だけでなく、広告事業やゲーム事業でも人材採用や広告宣伝などを積極的に行った結果、コストが増大していた。しかし、18年春頃までは売り上げがコストを上回っており、9月にリリースしたスマートフォンゲーム「ドラガリアロスト」の出だしも好調だったため、すぐにはコスト削減に踏み切らなかった。
しかし、ドラガリアロストの売り上げが想定よりも伸びず、11月に全社的なコスト削減を決定。新規の人材採用の停止や広告宣伝費の削減を進めたが、対応しきれず、今回下方修正を決めた。
今後、広告事業では新規広告主の開拓に注力する。ゲーム事業では、主力となっている既存タイトルの周年イベントと、新規タイトルのリリースで回復を見込むという。
AbemaTVは、番組制作費を見直してコスト削減を進める他、コンテンツや機能の拡充で有料会員獲得を目指す。オリジナル番組のDVD化や、出演者に“投げ銭”などが行えるギフティング機能の実装なども検討するとした。「AbemaTVの黒字化を急ぐことはないが、マイナス幅は減らしていきたいと思っている」(藤田社長)
サイバーエージェントは同日、2018年10〜12月期の連結決算を発表。売上高は1108億円(前年同期比13.2%増)、営業利益は53億円(同%35.2減)と増収減益だった。
関連記事
- 「過去一番のヒット」 サイバー藤田社長、任天堂と開発したスマホゲーム「ドラガリアロスト」に期待
サイバーエージェントが2018年度通期決算を発表した。任天堂と共同開発したスマートフォンゲーム「ドラガリアロスト」は、同社史上「過去一番のヒット」としており、ゲーム事業は引き続き期待が持てるという。 - 「傷が浅いうちに」 サイバーエージェントが参入断念、仮想通貨交換業の難しさ
「リスクがどこまでか見えない。ほとんど傷を追っていない状態で撤退するのが賢明だろう」――仮想通貨交換業への参入を断念したサイバーエージェントの藤田晋社長が、決算説明会でそう話した。 - 「AbemaTV」黒字化はいつ? 藤田社長「成長には特番よりレギュラー」
サイバーエージェントが2017年10月〜12月期の連結決算を発表。藤田社長が「AbemaTV」の戦略について説明した。 - Cygamesは黒字113億円、AbemaTVは赤字190億円 サイバーエージェント子会社の2018年を“総決算”
日本全国の企業情報を取り扱うアプリ「NOKIZAL」の“中の人”が、気になる企業業績をピックアップしてご紹介します。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.