「スクショもNG」で広がる混乱、合法と違法の線引きは? “違法ダウンロード対象拡大”の問題点(2/4 ページ)
著作権法の改正案で検討されている「違法ダウンロード対象拡大」は何が問題なのか。合法と違法の条件をあらためて整理してみたい。
冒頭で紹介したように、著作権を侵害するコンテンツだと認識していた場合、PCやスマートフォンで該当画面をスクリーンショットする行為も違法になる。公式で配信されているイラストや写真などのキャプチャは問題ない。これに対し、「ネットの利用を萎縮させる」「やり過ぎでは」という声が上がっているのだ。
Twitterコラ画像、二次創作は? 問題になりそうなこと
こうした条件に照らすと、冒頭に合ったような「Twitterのコラ画像」や「ゲーム実況プレイのスクリーンショット」などは、著作権が侵害されたものであり、なおかつそれを知りながらダウンロードをした場合は違法になる。
しかし、実際はTwitterや個人ブログなどに上がっているイラストや写真、ゲーム動画などが「著作権を侵害したものであるかどうか」を判断するのは難しく、私たちは普段ネットを利用するときにそこまで意識していないのが実情だ。
今年の2月8日に漫画家や法学者など識者が集まって開催された「違法ダウンロード範囲拡大を考える院内集会」では、漫画家の赤松健さんが「創作活動の参考にネット上で見かけたイラストをダウンロードしてHDDにたくさん保存している」と話していた。この中には、合法的にアップロードされたものか分からない二次創作のイラストなども含まれている。
そもそも二次創作自体が著作権的に“グレーなもの”で、本来違法とされても権利者が黙認することで成り立っている側面もある。二次創作のイラストや漫画のダウンロードも違法となり刑事罰化の対象になるなら、二次創作のコミュニティーが萎縮するだけでなく、漫画家の創作活動にも支障を来す可能性もあるだろう。
朝日新聞の報道では、刑事罰の対象範囲については、「原作を丸ごと複製する」「権利者に実害がある場合」「反復継続して繰り返す行為」など悪質性の高い行為に絞り込む方針で調整することになっているが、楽観視はできない。
一般財団法人情報法制研究所(JILIS)などは、民事規定についても対象範囲を「原作のまま」「著作権者の利益が不当に害される場合に限る」といった内容を明記するよう提案している。
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