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» 2007年08月28日 10時00分 公開

本田雅一が「FlexScan HD2451W」の映像品質を徹底チェック:比べるべきは、PC用ディスプレイではなくTVやプロジェクター (1/2)

「デスクトップ・ハイビジョン」をうたい、「AVセンターモニター」を標榜するナナオの24.1インチWUXGA液晶ディスプレイ「FlexScan HD2451W」。だが、基本的にはPC用液晶ディスプレイである同機の映像表示品質は、実際のところ、どの程度なのだろうか? AV評論家の本田雅一氏が評価した。

[本田雅一,PR/ITmedia]
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AV評論家 本田雅一氏の自宅のAVリビングルーム。「FlexScan HD2451W」に東芝製HD DVDレコーダー「VARDIA RD-A300」やフルHD記録に対応したビクター製HDDカムコーダー「Everio GZ-HD7」、BOSE製コンパクトスピーカー「M3」などを接続し、高画質ソースを視聴してHD2451Wの映像表示品質をチェックした

 WUXGA(1920×1200ドット)に対応した24インチクラスのワイド液晶ディスプレイは、単体ディスプレイ市場において最もホットなカテゴリーになっている。ノートPCや液晶ディスプレイ一体型を選択するのがコンピュータユーザーの多数派である中、わざわざ単体のディスプレイを調達するのは、画質に対して一家言ある“こだわり”派が多い。中でもWUXGAに対応した24.1インチワイド液晶ディスプレイは、サイズ、解像度、そして価格のバランスが取れており、大きな人気を集めている。

 人気が高まればそこに数多くの製品が集まり、市場がにぎわう。WUXGAがフルHD(1920×1080ドット)の解像度をカバーできることを利用して、HDMIやD端子といったAV機器向けの入力端子を持つ製品も登場してきている。そこで今回は、中でも注目度が高いというナナオの「FlexScan HD2451W」を試用して、HD DVDやBlu-ray Disc(以下、BD)などの高画質ソースを鑑賞してみた。

 視聴に使用した機材は、東芝のHD DVDレコーダー「VARDIA RD-A300」、BDレコーダー、それにフルHD記録が可能なビクターのHDDカムコーダー「Everio GZ-HD7」である。

AV系入力に独立した映像プリセットを用意

 この視聴を始める前に、やや心配していたことがある。「果たしてTV的な絵がきちんと出せるのだろうか?」という素朴な疑問だ。コンピュータ用のディスプレイにおける標準的な色温度は6500K。色再現域はビデオ映像とコンピュータのsRGBでは異なるが、ガンマカーブはいずれも2.2(Mac標準は1.8)であり、きちんと調整された高品質のディスプレイであれば、色階調表現はDVDやHD DVD、BDなどを見るうえで、違和感を感じるようなことはない。

 しかし、市販のTVは映画などの映像作品向きの画質モードを持ちつつも、映画やドラマ以外の放送番組をメリハリよく見せるため、さまざまな映像処理を施している。色温度は6500Kよりも高いほうが合う場合も少なくなく、輪郭の補正も行ったほうがよい結果になる映像もある。

 たいていの場合、それらの映像処理は高画質な映像ソースにとって“やり過ぎ”であることが多いので、映画などを見る場合には映像モードを切り替えることになる。とはいえ、ほとんどの人は、何らかの見栄えよくするための映像処理、映像調整を行ったTVの画質モードに慣れており、「果たしてどこまで本職のTVと同等の画質に近づいているか?」が1つの懸念事項としてあった。

 しかし、懸念は単なる杞憂に終わる。HD2451WはHDMI、D端子、S-Video、コンポジットビデオといったAV端子からの入力に切り替えると、画質モードがコンピュータ接続時とは異なり、「スタンダード」、「ソフト」、「ダイナミック」、「カスタム」の4つとなり、そのうち「スタンダード」が、いわゆる液晶TVにおける標準モードと同等の役割を果たすようになっていた。

「スタンダード」モード
一般的なTV番組を見る際にちょうどいいモード。色温度9300Kは通常の液晶TVにおける標準モードと同等。映像付き音楽ソフトにも向いている(画面は「virtual trip TAHITI HD SPECIAL EDITION」)
「ソフト」モード
映画を中心とする映像作品に向いたモード。ハイライトやシャドウの階調がきちんと描き分けられ、制作者の意図を見分けやすい(同)
「ダイナミック」モード
明暗差がもっとも出るが、コントラストを強調するトーンカーブなので一般的な映像視聴には適さない(同)

 きちんとHD映像のI/P変換(もちろん、2-3プルダウン検出も自動で行う)に対応しているほか、動画向きの輪郭補正やバックライトコントロールでコントラストを拡張する機能、そしてもちろんオーバードライブ駆動など、最近の液晶TVと変わらない映像処理が行われている。

 というわけで、まずはこの「スタンダード」モードで画質をチェックしてみることにした。

階調性を生かしつつ高色温度での見栄えを確保

 「スタンダード」モードでは、まず一般的なTV放送を各種見たが、なるほど液晶TVらしい、明るく白ピークのよく伸びたメリハリのある映像だ。やや輪郭補正が強めで、金属物の輪郭などにギラツキを強く感じることもあるが、これはメニューで輪郭補正を弱めれば解決する。とはいえ、このモードはメリハリ感重視でデフォルトのまま使うのがよいだろう。

フルHD記録に対応したビクター製HDDカムコーダー「Everio GZ-HD7」をHD2451Wに接続した例。HDMIケーブルで接続するだけで手軽に再生・視聴できる

 特にGZ-HD7で撮影した映像との相性はいい。GZ-HD7に限らず、家庭向けHDカムコーダーは、ハイビジョン放送よりもやや甘めの解像度になる。センサーやレンズの違いもあるため、ある程度は致し方ないが、スタンダードモードで施される輪郭補正とのマッチングがよいのか、ちょうどよいころ合いの映りになる。

 感心したのは9300Kと高い色温度の設定ながら、RGBのガンマトラッキングがきちんと揃って見えることだ。前述したようにコンピュータ用液晶ディスプレイは6500Kが標準に設計されるため、9300Kといった高い色温度では輝度レンジによってRGBバランスが微妙にブレることが多い。

 また高色温度設定時は、やや青くサッパリと見えすぎて、とくに肌色の色乗りが浅く見えがちだ。しかし、入念にバランスを取っているようで、高色温度ながらほどよく色が乗せられており、肌の温度感やふくよかさはきちんと残されている。このままハイビジョンドラマ(ハイビジョン放送の場合、本来は6500Kが基準)を見ても違和感がない、実に巧妙なる絵作りだ。

 若干、白ピーク側の階調が不足気味に見えるため、4〜5ポイントほどコントラストを落とすと、映画などでも違和感のない万能性の高い画質モードになるだろう。とはいえ、明るめの部屋で見るならば、あえて他のモードに切り替える必要はないかもしれない。

 液晶TVの標準モードは、店頭での見栄えも1つのテーマとしてあるためか、標準モードでもかなり恣意的な強調を感じる機種もある。しかし本機に関しては、ナチュラルな階調を生かしたままでパラメータが追い込まれており、さすがに液晶TVの開発経験があるナナオならではのノウハウがあると感じさせられた。

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