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» 2009年03月30日 10時00分 公開

デジカメ×FlexScan×EasyPIX:「撮影テクを磨き、EIZOで確認する」――オークションやブログで差がつくデジカメ術 (1/3)

PC USERでカメラマンとして活躍している矢野渉氏は、商品写真撮影(ブツ撮り)のスペシャリストだ。氏いわく、写真1枚でネットオークションの入札数やブログの反響が大きく変わることもあるので、プロでなくても写真の品質は大切という。そこで今回は一般ユーザーが実践できるブツ撮りのコツと、撮影後に意図した通りの色を表示するためのディスプレイ環境について語ってもらった。

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「惜しい」写真から「魅せる」写真へ

矢野渉:PC USERをはじめ、Webや雑誌媒体のカメラマンとして幅広く活動。写真はもちろん、PC製品に関する造詣も深い。PC USERにて「金属魂」(きんぞくだましい)を好評連載中

 写真は楽しい。僕がプロカメラマンになって四半世紀以上もたってしまったけれども、いまだにシャッターを押す快感は確かにある。それは「写真が好き」ということもあるけれども、どちらかというと「写真のチカラ」を信じていることのほうが大きい。キレイな写真は確実に人間の心を動かすからだ。デジタルの時代になって10年以上がたち、写真は誰もが簡単に撮影できるものになったのに、そのことを認識していない人が意外に多いのではないか、と僕は思う。

 写真は影響力を持っている。例えばブログにキレイな写真を1枚張り付ければればアクセス数はポンと跳ね上がる。ネットオークションの商品写真が「魅せる」写真なら、それだけで入札が多くなるのだ。言葉による説明がなくとも、目に飛び込んでくる写真は、それだけの力がある。

 僕はクラシックカメラが好きで時々オークションをのぞくのだが、「惜しいなぁ」と思う写真に時々出会う。もっとちゃんと撮影すれば結果が違うのにな、と。ブログやSNSも同様だ。別にプロ並みのセットで撮影すべきというわけではない。簡単なポイントをいくつか押さえれば、結果はまったく違ったものになると思うのだ。

 まさに春。進学、就職、転勤などを機にブログやSNSを始める人もいるだろう。引越しをすれば不用品をオークションへ、という人も多くなる。そんな人たちへ、僕からの「商品撮影、カンタンなコツ」をお贈りしよう。これを守れば、同じような商品をオークションに出品していたり、ブログやSNSで紹介しているライバルに差をつけることができるはずだ。

ブツ撮りを成功させる3つのポイント

(1)望遠レンズで撮ろう

 カメラのレンズの中で、人間の目が感じる遠近感に一番近いのは焦点距離が85ミリのレンズ(35ミリ換算)だといわれている。目の視野角はものすごく広いので、広角レンズのように思われがちだが、実は絶え間なく場所を変えながら、多くのポイントを認識して脳の中で画像を合成しているようだ。ブツ撮りは、この遠近感に合わせて撮影するのがコツだ。つまり中望遠と呼ばれるレンズである。これが理解できれば、人間が心地よいと感じる写真が撮れる。

 僕は極力、パースペクティブ(遠近法)の付かない写真を撮っている。長いレンズを使い、アオリのきくPC Nikkorレンズを使い、それでもだめならフォトレタッチソフトのPhotoshopで修整してきた。商品を最も美しく見せるのは「人間の見た目」なんだという信念が僕にはある。

 コンパクトデジカメやズームレンズは今自分が何ミリのレンズで撮影をしているのかを忘れがちだ。構図を決める前にレンズを確かめよう。85ミリ以上ならOK。パースは気になるほどではない。どうしてもそれ以下の焦点距離しか使えないなら、被写体から少し離れるしかない。そして回りにできた余白は、後でソフトで切り取るのだ。

広角側のレンズだと撮影距離も近くなり、かなりパースのきつい写真になってしまう(写真=左)。35ミリ換算100ミリ前後で撮影した例では、自然な遠近感が安定した構図を作っている(写真=右)

(2)正しい色(ホワイトバランス)で撮ろう

 多分これがネットオークションなどでは一番重要なことになる。実物とあまりに違う色で表示されたら後々トラブルの元だ。最近のデジカメはオートホワイトバランスがかなり優秀になってきている。でもメーカー間の解釈の違い、あるいは機種ごとの違いは厳然とある。どんなに経験値を積んでもオートのホワイトバランスはかなりあいまいなのだ。

 ではどうするか。一番よいのは市販のグレーボードやホワイトボードを購入してカスタムのホワイトバランスを取ることだ。これらのボードは3000円ぐらいのものだが、コピー/プリンタ用紙の白色でも何とかなる。

 ポイントは光源を1種類にすることだ。日光、電球、蛍光灯では色温度が違いすぎる。つまり、同じ白色でも光によって、赤っぽくなったり、青っぽくなったりしてしまう。かといって、日中にカーテンを閉めて電球で撮影をするのはかなり危険だ。もれた日光が青い色を出す。基本は「夜に、一種類の光源」が望ましい。

 どうしてもカスタムのホワイトバランスが取れないなら、プリセットのものを使う。しかし、蛍光灯は最近になって種類が増えているので要注意だ。とりあえずホワイトバランスの設定を全部試してみて、後で選んだほうがいい。日光と同等の色温度の蛍光灯も普通に売られているので、デジカメの蛍光灯マークにホワイトバランスを合わせればいいというものではないのだ。

ホワイトバランスを「オート」で撮影(写真=左)。薄いグリーンのバックペーパーにオートホワイトバランスが引っ張られたのか、全体にマゼンタがかっている。これではデニムのブルーも裏地のレッドも台なしだ。ホワイトバランスを「Kodak Gray Card」で測定後の撮影(写真=右)。すべて実物の色が再現できた

(3)ライティングを整えよう

 シンプルなライティングは、まず自然界を考えることだ。太陽はたった1つ、これが基本となる。メインライトがあって、後はそれをレフ板で反射させたり、トレーシングペーパーや障子で透過した柔らかい光にしたり、その応用がすべてだ。

 まずカメラ内蔵のストロボは使わない。立体感がなくなるし、反射が見苦しいからだ。だいたい太陽は自分より上に位置するものだから。さらに、外付けのストロボも、僕はおすすめしない。天井バウンス(ストロボの光を天井に反射させて撮影)というのがなんだか流行のようになっているが、バウンスの距離が長すぎて光が柔らかすぎることが多い。しかも、なぜか色が濁ってくる。ストロボの閃光(せんこう)は誰にも見えないから、ライティングとしてはとても難しいのである。

 撮影の経験が浅い人は、ライティングそのものが目に見えたほうがいい。基本は商品の左右どちらからか、上方45度ぐらいから電球か蛍光灯を当てる。生の光は避ける。影がキツくて見苦しいからだ。トレーシングペーパーでディフューズ(透過)した柔らかい光がよい。今はデジタル一眼レフカメラにも多くの製品にライブビュー機能があるから、光源の位置を少しずつ変えて確認しながら照明ポイントを決める。

 それでも影が気になるなら、光源と反対側に光を反射させる白いボードを立てる。いわゆるレフ板だ。この板と被写体との距離を変えることで、影の出かたは変わってくる。動かしながらいろいろ試してみよう。

電球の直接光では影がきつい(写真=左)。トレーシングペーパーでディフューズすると、印象がかなり柔らかになった(写真=中央)。ディフューズと左側からのレフ板の反射光を組み合わせると、ほとんど影がなくなった(写真=右)

(番外編)三脚のススメ

 このようなライティングで撮影を行った場合、デジカメのシャッタースピードはかなり遅くなる。数秒単位になるかもしれない(当然、写真はブレる)。ISO感度を上げてブレないようにして手持ちで撮影する、という考え方もあるが、高感度撮影の弊害でノイズが出てきて、画像の品質は確実に下がる。最近は高感度での高画質をうたう機種もあるが、そこは「CPUが作った絵」という感じが否めない。なので三脚は必須となる。

 ただ、コンパクトデジカメを使う場合はこんな裏技もある。写真のような数百円のミニポッドを使うのだ。カメラ自体がかなり軽量なので十分に保持できるし、高さは本でも積み上げて調整すればよい。しかし強度はかなり弱いので指でシャッターを押すとブレる可能性がある。こんなときはセルフタイマーでシャッターを切れば完ぺきだ。

ミニポッドにコンパクトデジカメを装着して撮影している例。足りない高さは書籍や雑誌を重ねることで微調整できる

 さて、こうして写真は撮れたわけだが、次に問題となるのはディスプレイ環境。いくら写真がきちっと撮れても、それを映すディスプレイ環境が整っていなければ、何の意味もなくなってしまう。

撮影後には正しい色で見たい!

 こんな経験はないだろうか。さて写真はうまく撮れた。ちょっと友人に自慢しようかとデータを渡して見てもらったら、あれれ、彼のノートPCで見ると色がちょっと違う。全体に色あせて、青い感じがする。でも自分のデスクトップPCの液晶ディスプレイと、彼のノートPC、どちらが正しい色なのかが分からない……。不安になって手持ちのフォトレタッチソフトで写真の色をいじくっていくうちに、訳が分からなくなってしまう。そりゃそうだ。色の基準がないんだから。

 自分の撮影した写真を正しい色で確認するためには、正しい発色をする液晶ディスプレイとカラーマッチングツールを手に入れるしかない。でも、これはずっとプロ向けの高価なものであって、普通の人が気軽に買えるものではなかった。特にハードウェアによるカラーキャリブレーションは、ソフトそのものが印刷関係向けにできていて、一般人が簡単に扱えるものではなかったのである。

 しかしここで、僕も仕事で愛用している液晶ディスプレイのメーカー、ナナオから画期的な製品が発売された。それが「FlexScan S2242W-H」と「EIZO EasyPIX」の組み合わせである。

22型ワイド画面ながら1920×1200ドット表示に対応した液晶ディスプレイ「FlexScan S2242W-H」と、測色センサーに専用ソフトウェアを組み合わせたカラーマッチングツール「EIZO EasyPIX」。EasyPIXの対応OSはWindows XP/Vista、Mac OS X 10.3.9以降だ

 従来フルHDを表示できるワイド液晶ディスプレイは24型が主流だったが、S2242W-Hは22型ワイドで1920×1200ドット(WUXGA)の高解像度を実現した。しかもAdobe RGB色域を95%カバーした広色域、そして広視野角のVAパネルを採用する。価格も同社直販のEIZOダイレクトで6万9800円とかなりリーズナブルだ。

 それ以上に注目なのがカラーマッチングツールのEasyPIX。ナナオ製の液晶ディスプレイ専用のカラーマッチングツールだが、この手の製品にしては価格が1万9800円と手ごろだ。加えて、EIZOダイレクトではS2242W-HとEasyPIXがセットになってプラス1万円の7万9800円になっている。これは、かなりのバーゲン価格ではないだろうか。

 色に関してプロと呼ばれる多くの人は、ナナオの液晶ディスプレイに絶対の信頼を寄せている。その会社が考えた末、一般ユーザーに向けてカラーマッチングツールのすそ野を広げるために発売した製品なのだから、その効果は期待できる。また、自社の液晶ディスプレイの中で対応機種を特定した「専用設計」のカラーマッチングツールであることも信頼性の高さがうかがえるところだ。

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提供:株式会社ナナオ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2009年4月29日