メーカー別にみるRAID NAS障害対策 〜IO DATA機器編〜RAIDデータ消失の92%は「突然」やってくる

RAID NASメーカーごとに見られる故障の傾向やその対策をデータ復旧のプロに聞く。第2回はIO DATA機器の製品を取り上げる。

» 2013年12月24日 10時00分 公開
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第2回はIO DATA機器製NASの障害傾向

IO DATA機器製NAS

 メーカー別のRAID NAS障害対策として、連載第1回ではバッファロー製NASを取り上げ、データ復旧事業最大手(7年連続国内実績No.1)、RAIDデータ復旧実績年間1000件を超える日本データテクノロジーに、障害の傾向や対策を聞いた。

 続く第2回では、バッファローとともに国内メーカーとして高いシェアを持つIO DATA機器の製品について、データ復旧チームの太田高寛氏に話を聞く。年末年始の長期休暇に向けて、NASを使ったデータ管理の見直しや万が一障害が発生してしまったときの対策などを紹介していこう。

※第三者機関調べ

本記事で取り上げた製品に関する見解は、日本データテクノロジーに持ち込まれた製品の傾向であり、すべてに当てはまるものではありません。

―― 前回に続いて、第2回ではIO DATA機器の製品について教えてください。日本データテクノロジーに持ち込まれる製品で、IO DATA機器に固有の故障傾向はありますか?

日本データテクノロジー データ復旧事業部復旧チームの太田高寛氏

太田氏 IO DATA機器は、バッファローに次いで入庫が多いメーカーですね。これは国内での流通量が多いことに起因していますが、2013年の1月から10月までのデータでは、バッファローが全体の半数ほどを占め、IO DATA機器は約30%、残りがそれ以外という状況でした。ほかの製品に比べて壊れやすいということはないと思いますが、ユーザー数に比例して持ち込まれる数も増えているという印象です。

 入庫数をモデル別で見ると、最も多いのは単純な外付けHDDタイプ。一方、LAN DISKの「HDL」シリーズのNASでは、RAID 5に対応する「HDL-GT」シリーズや、さらに解読には100兆年かかるとまでいわれたAES 265ビットの暗号形式を持つ「HDL-GTR」シリーズなどもあわせて3割近くあります。日本データテクノロジーではAES 265ビットの暗号がかかったものでも、ユーザーエリアにある暗号化のかかったモジュールを特定し、データの復旧に成功しています。いずれも生産終了もしくは後継製品として「HDL-XV」が出ているモデルですね。

 また、持ち込まれる機器の使用年数は、5年未満が39%、3年未満が37%となっています。経年劣化の原因は、40度〜60度を越す温度変化から起きる熱膨張・収縮による筐体内空気の汚染、ヘッド・プラッタ間の磨耗とその磨耗粒子が飛散することによる不良セクタ増加、それから意外と多いのが、メンテナンス不足によるホコリです。

 NASの障害内訳は、ファイルシステムの異常が45.4%で、これはRAIDメンバーも判断できない場合や、スーパープロット、アイノード情報が破損している状態。次にHDDのヘッド不良といった物理障害が29.8%となっています。

 具体的には、異常が発生したPCB上のROMチップ情報によって通電されたアセンブリが破損する、あるいは、わずかなちり・キズが入ったプラッタや、ヘッドの不具合によってサスペンションが破損する、ほかにもヘッドを動かすモジュールの破損によってサービスエリアにアクセスできないといった症状が多く見られます。RAID構成も含み、どれもHDD自体の故障に起因するものが多い傾向です。先にもあったような3〜5年前に製造されたHDDの故障率がぐっと上がるのは、IO DATA機器に関わらず、共通する傾向ではありますが。

IO DATA機器製RAID NASの対策ポイント

―― 現在IO DATA機器製品を使っているユーザーはどんなことに気をつければよいですか。

太田氏 先ほど挙げたとおり、IO DATA機器製品で持ち込まれるものは、バッファローよりも比較的古いモデルが多いです。特に2008年か2009年ごろに購入した製品は要注意。筐体の不備ではなく、HDDの経年劣化は必ず進んでいます。個人向け、法人向け問わず、このころにIO DATA機器のNASを導入した方は、きちんとバックアップを取って、ホコリを除去するなどのメンテナンスをオススメします。

 また、障害要因としてHDDの故障が多いことから、中のHDDを交換すれば問題ないと考えがちですが、RAID 5を組んでいる場合は1本ずつすべて交換するとリビルドに時間がかかるうえ、ヘッドへの負荷が非常に大きくなります。ヘッドがユーザーエリアにマウントすると、それだけでスクラッチの可能性も上がるのですが、リビルドではその動作を繰り返すことになります。また、RAIDの構成は同時期に製造されたHDDからなるため、2本以上のHDDが同時にクラッシュするケースも少なくありません。障害の原因として筐体不良も7.3%ありますので、予算に余裕があれば新しいモデルを購入してデータを移行するほうがよいかもしれません。データの重要度によってはレプリケーションも検討したほうがいいと思います。

 ちなみに、IO DATA機器で持ち込まれた製品のうち、92%のお客さまが「突然壊れた」と答えています。まだ大丈夫と思っていても何の予兆もなく壊れてしまうのが超精密機器と呼ばれるHDDであることはお分かりいただけているかと思います。年末年始の休暇前には使用機器の見直しをオススメします。実際、日本データテクノロジーにも休み明けの依頼が急増しますよ。

2013年に持ち込まれたIO DATA機器製品の使用年数(画面=左)と壊れたきっかけ(画面=右)に対する調査データ

それでも壊れてしまったら?

―― IO DATA機器製NASユーザーがデータ復旧で依頼した場合、復旧の見込みはどれくらいでしょうか。

太田氏 2013年のデータを見ると、復旧率は90%です。ファイルシステム異常などの単純な論理障害ではほぼ100%の復旧率で、これが全体の7割近く。リビルドによるデータ破損は、元のRAID情報も書き換わる、あるいは消失するので複雑ではありますが、復旧は可能です。

 残りの3割が物理障害を含むものです。物理障害でもHDDのヘッドやチップの移植でデータ復旧はできますが、プラッタに目視で確認できるスクラッチが入ってしまうようなケースでは、やはり難易度は上がります。目には見えないナノメートル単位のスクラッチや、スクラッチがあっても起動ヘッドのプラッタ面に障害がわずかであればデータの読み込みはできます。

 全体で90%というのはRAID NASの復旧率としてみれば非常に高い数字ですし、もしウチでダメならほかでも無理だろうという自負はあります。特に弊社は「成功報酬」をうたっているので、例えデータの約9割を復旧できても、依頼のあった、たった1枚の写真が復旧できなかったことで、復旧成功ではないとする場合があります。実際、今年はあるカメラマンの方からの依頼で同様のことがありました。成功報酬というのはやや厳しいハードルなのですが、依頼によっては、亡くなられた方の思い出の写真だったり、会社の業績を左右するものや、(病院の)人命に関わるケースもあるので、成功=必要なデータを取り戻すこと、というのは当然だと考えています。

 データ復旧というと、PCの画面に向き合っているイメージが強いですが、この仕事を続けていると、実際はその裏側で人の生活や命と向き合っているんだという思いが強くなりますね。

―― 依頼からどのくらいの時間で復旧できますか?

太田氏 RAIDを組む際の4要素(レベル、順番、アルゴリズム、ストライプサイズ)を分析する時間とデータを吸い出す時間を合わせて、通常は1営業日ほどです。IO DATA機器は、バッファローと同じく入庫数が多いので、復旧技術やRAID構成情報の蓄積があるため、分析は平均しても約3時間ほどで終わります。「明日の朝までにどうしてもデータが必要」など、場合によっては専門技術員の配置を増やすことでさらに早い対応も可能ですので、まずはご相談いただければと思います。当社では、これまでの数多くの実績と経験を持つ技術員と、その技術員より直接研修を受けたRAID専任のアドバイザーが365日休まずに対応しておりますので、ご安心してお問い合わせください。

対策のポイントまとめ

  1. 2008〜2009年ごろに購入したIO DATA機器製品は要注意
  2. 古いモデルを使っている場合は、バックアップやHDDの換装、予算があれば新しい機器への移行を
  3. データの重要度によってはミラーリングやレプリケーションも検討
  4. 通常3営業日で復旧可能。壊れたらまずは相談を

 なお、日本データテクノロジーでは「データ復旧のプロ直伝。RAIDトラブル時の対処法」としてブログも公開しているとのこと。トラブルが発生した際のエラーメッセージが細かく解説されているので、いざというときに役立ちそうだ。

データ復旧で「日本データテクノロジー」が選ばれる理由 〜安心のセキュリティ(2)〜

 データ復旧事業では、個人情報や企業の重要な情報が入った数多くストレージを取り扱うため、情報漏えい対策は万全を期する必要がある。

 連載第1回で紹介した、執務室入り口の金属探知ゲートと指紋認証/顔認証システムだけでなく、フロア全体に設置された監視用カメラによって2重、3重のセキュリティ対策を施している。データ復旧を依頼する場合は、突然のデータ消失や復旧見込みの有無で頭がいっぱいになりがちだが、こうしたセキュリティ面での安心感にも目を向けたい。

フロア全体に監視カメラを設置し、常駐警備員がリアルタイムでモニタリングしている


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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2013年12月29日