プロ漫画家がクリエイター向けPC「DAIV」の“クリスタ推奨”モデルを試す(2/2 ページ)

» 2018年06月28日 10時00分 公開
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6コアCPUで「ながら作業」がはかどる!

 などと感心している間もなくサッとOSが立ち上がるのが今回のマシン。予想はしていたが、やっぱり最新モデルは速いのである。というわけで、マシンの性能も見ていこうと思うが、個人的にグッときたのは、6コア・12スレッドの圧倒的なパワーを備えた第8世代Core i7-8700だ。その昔、Core 2 Duoでクリスタを頑張って動かしていた時期もある筆者からすると、隔世の感がある。

 また、このCPUはTurbo Boost時に最大4.6GHzで動作し、シングルコアでの性能も期待できる。正直、クリスタ用としてはかなり豪華な構成だろう。Adobe Photoshop CCなど、クリスタ以外のグラフィックス系ソフトを使う上でも安心のスペックだと思う。

普段から「CLIP STUDIO PAINT」(クリスタ)で漫画を描いている山田氏。推奨モデルのスペックは「十分すぎるくらい」と太鼓判を押す

 CPUのコア数が多ければ、マルチコア対応アプリケーションの高速化が望めるわけだが、クリスタに関していえば、比較的シングルコアでの動作が多いように見受けられる(キャンバスの描画更新処理などでマルチコア処理が使われているらしい)。しかし、だからといってマルチコアのメリットがないわけではない。仕事で絵を描くとなれば、いわゆる「ながら作業」の効率も考えなくてはいけないからだ。

 自分の作業環境を振り返ると、作画資料の検索やradikoを聞くためにWebブラウザを常時立ち上げ、在宅アシスタントさんとのコミュニケーションにDiscordとSkypeを併用し、アシスタントさんが更新した原稿ファイルをDropbox経由でリアルタイムに同期し、万が一の故障に備えてバックアップのプロセスも定期的に走らせて、ときには動画も見たりして……といった具合に、複数のプロセスが同時並行で動作している。

 こうしたマルチタスクを快適に乗り切るのに、6コアCPUが役に立つ。試しに、YouTube動画を幾つも再生した状態でブラシ操作や原稿一式の書き出しを試してみたが、非常にスムーズだった。

いろいろなソフトを起動した状態でも原稿の書き出しがあっという間
タスクマネージャーで見た論理12コアのCPU使用率。「ながら作業」が多い自分にぴったり、と山田氏

 ちなみに、GPUはGeForceのGTX 1050を採用している。下位グレードのGPUとはいえそれでもGTXクラスだし、3Dグラフィックスを多用しない筆者にはこれで十分。ただ、映像出力がDVI-D×1、DisplayPort×1の2系統なので、トリプルディスプレイを構築したい人は、DisplayPort×3とDVI-Dを搭載し最大3画面出力に対応した上位のGeForce GTX 1060を選択した方がいい。

 クリスタの快適な作業にはメモリ容量も重要だ。試用したマシンは32GB(16GB×2)のメモリを積んでおり、大量のレイヤーを使ったファイルでも快適に動きそう。「動きそう」と書いたのは、筆者はどちらかというとレイヤー数は少なめで、ファイルサイズはせいぜい数十MBに収まることが多いからだ。とはいえ、前述の通り「ながら作業」が常なので、たっぷりとメモリがあった方が頼もしい。

 SSDとHDDのデュアルストレージ構成も、漫画家に優しい構成といえる。個人的には、作業効率を考えてメインストレージにはSSDを必ず選択したい。OSやアプリケーションの起動速度はもちろん、ファイルを読み込む速さなどを考えても、SSDとHDDでは大きな差が出てくるからだ。SSDの速さを一度体験してしまうと、HDDに戻る気は全然起きなくなる。

 一方で、プロの漫画家としては、年々増える「描き終わった作品ファイル」の保管も重要なポイント。全てをSSDで保管するとなると結構なコストになってしまうが、大容量の内蔵HDDに作品を保存できるなら管理もしやすくなる。単行本作業を終えてしまえば、古いファイルを触ることはほとんどなくなるので、速度は遅くともコストパフォーマンスに優れた内蔵HDDに保存するのは理にかなっていると思う。今回のクリスタ推奨モデルは240GBのSSDを起動ディスクに採用し、2TBのHDDをサブストレージとして利用できる。自分の用途にぴったりの構成である。

 普段の仕事を意識しつつ一通りの作業を試してみたが、起動も、ファイルの読み込みも、お絵かきも、保存も、ファイルの書き出しも、どの局面でもストレスを感じさせないマシンだった。電源スイッチをカチリと回して、さあ絵を描くぞ、という気分にさせてくれるDAIVのクリスタ推奨モデルは、プロアマ問わず、お絵かきマシンを探している全ての人に、検討する価値のあるPCだと思う。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2018年7月17日