PCフリーライターが普段実践する、モバイルオフィス環境──「通信環境の確保」編:もし、在宅業務することになったらどうするか(2/2 ページ)
ノートPCで実践するモバイルオフィス環境の構築には、インターネット接続も欠かせない。それぞれの通信サービスをどうとらえるか、まずはどれから導入すればいいか、“はじめの1歩”を考察する。
【手段.3】「3Gデータ通信サービス」を利用する
3G、いわゆる国内携帯電話網を利用するデータ通信手段は、通信事業者により差はあるが「サービスエリアの広さ」がとにかく大きなメリットだ。
前述したWiMAXサービスと比べると、その差は大きい。例えばNTTドコモのFOMAネットワークは、2009年1月時点で人口カバー率100%に達しており、山間部(秘境を除く)や沿岸部洋上などでも利用できる可能性が高い点は「通信環境が必須」とする人にとって、絶対的な安心感がある。また、基地局に自前のバックアップ電源を持つなど、店舗や施設の電力供給状況に依存する公衆無線LANサービスやバックアップ電源を持たない基地局もあるWiMAXサービスと比べると停電時に強い傾向も安心感につながるだろう。
とはいえ、デメリットもいくつかある。まずは実利用時における通信速度は今回挙げる手段の中でもっとも遅い。一般的には下り最大7.2Mbps、最近は同21Mbps/42Mbps(イー・アクセス「EMOBILE G4」など)のサービスも登場しているが、筆者は2011年6月現在、実利用時の通信速度で数Mbps単位の速度が出れば上々と評価している。
さて、何度も述べて恐縮だが、今回はモバイル環境+ノートPCで普段と同じ仕事環境を整えるための考察を行っている。PCで快適に業務を遂行するには、つながればOK──ではなく、Webページを開くのにかかる時間、業務用の添付ファイルを送受信する時間を含めて、会社や自宅で作業する時と同じ使い勝手にまで持って行きたいと考える。通信速度が遅ければ、それだけロスする時間が多くなり、PCのバッテリーも余計に消費してしまう。
通信料金/ランニングコストを含むトータルコスト計算が複雑かつ高額な傾向もある。3Gサービスでは比較的安価なイー・アクセスの場合は定額で3880円/月(EMOBILE G4データプラン(にねんS) 高速モバイルキャンペーン適用時)と、前述したWiMAXサービスと同等クラスの月額料金となるが、NTTドコモの定額データプラン スタンダード バリューコースは1000〜5985円/月+ISP利用料金(mopera U Uスタンダードプランは525円/月)で、最大6510円/月となるイメージだ。なお、上記で述べた料金例は同時に通信機器(USBデータ通信端末やポータブル無線LANルータなど)を同時購入し、原則として約2年の継続契約が条件となる。
ただ、メインの手段ではなく、予備の回線としてほかの通信手段を補うために導入するサービスとして筆者が注目しているのは、日本通信「b-mobileSIM」サービスだ。SIMカード(の利用権)のみを販売するプリペイドSIM式のサービスとして、約2480円/月(6カ月版の1カ月換算の場合。1カ月版は2980円)で通信速度を上限300kbpsに抑えた「U300」、通信速度制限なしで通信総量1Gバイト分か120日間利用できる「Fair」など、「利用権」か「通信速度」のどちらに対価を支払うか──とする、利用シーン別に選べるラインアップを用意する。
ちなみに、今回実施するモバイルオフィス環境の構築用にはやや不向きと思うが、980円/月で上限100kbpsとするイオン限定b-mobile SIMも、これまでなかった低価格な設定でかなり大きな話題になっている。速度を求めるほかの手段を補完し、最低限の通信環境を確保するためと考えると、ランニングコストを低く抑えられる点は喜ばしいポイントだ。
【手段.3】「3Gデータ通信サービス」を利用する | |
---|---|
省電力 | ☆☆☆(電力量がピーク時間帯にバッテリー動作させれば効果あり。ただ、ルータ型はバッテリーの充電がそれ用に別途必要) |
初期コスト | ☆☆☆(購入する通信機器により変化) |
ランニングコスト | ☆☆(事業者や選択プラン、購入方法により変化。980円/月のプランを用意する事業者もあるが、平均すると上限6000円/月ほど) |
重量 | ☆☆☆☆(USB型/ルータ型ともに、大きな重量増は発生しない) |
速度 | ☆☆(下り最大7.2M〜42Mbps。事業者や時間帯などに応じて変化。実測参考値は数Mbps前後) |
エリア | ☆☆☆☆☆(事業者別に大きな違いはあるが、それぞれ携帯電話のエリアと同じで総じて広め) |
(※星が多いほど効果あり/良好 を示す。満点:☆☆☆☆☆ ※あくまで筆者感覚値です。ある条件化では大きく異なる可能性はあります) |
まとめ:状況に合った電波を求めてノマドする
さて、ここまで検証したように、低価格・広エリア・高速・利用期間の縛りなし──のすべてを満たすモバイルデータ通信サービスはまだ存在しない。
筆者は、実は公衆無線LAN、WiMAX、3Gの3手段をすべて契約し、それらを組み合わせてそれぞれのデメリットを解消している。「高速に通信できるか」を主に、まずは公衆無線LANを検索、なければWiMAX、それでも圏外なら3Gをという流れだ。
ズバリこれと断定できずに恐縮だが、モバイル利用において足りないと感じた手段を段階的に導入していき、不要になったらすぐ解約できるスタイル。これを今回のモバイルオフィス環境構築におけるポイントにしたい。前回の「電源の確保」編も併読いただき、利用場所を考慮することを応用して、まずは月額コストが定額な公衆無線LANサービスをどれか1つ契約してみてはいかがだろう。
次回は「電源」「通信」を確保しつつ、本業ビジネスに必要な「データを収納・保存・引き出す」手段を検討・検証する予定です。
関連記事
- もし、在宅業務することになったらどうするか:PCフリーライターが普段実践する、モバイルオフィス環境──「準備と心得、教訓」編
いざ「在宅勤務」となったらどうするか。普段よりモバイルオフィス環境で業務するPCライターが考える「モバイルオフィス環境 5カ条」を項目別に紹介していく。まずは導入として「準備と心得、教訓」編から。 - 復興 スマートジャパン:ネットとテクノロジーで日本に再び活力を
- 次世代PCデータ通信特集次世代PCデータ通信特集
モバイルWiMAXや3G/HSPAの旬なPCデータ通信から、次世代の高速通信まで、「PCでデータ通信を利用するユーザー」のためのPCデータ通信関連情報を随時更新!
関連リンク
- フレッツ・スポット
- Mzone
- HOTSPOT
- au one net公衆無線LANサービス
- Wi2 300
- ソフトバンクWi-Fiスポット
- BBモバイルポイント
- livedoor Wireless
- FREESPOT
- FON
- UQ WiMAX
- au one net WiMAXコース
- LTEサービス「Xi」(NTTドコモ)
- FOMAデータ通信サービス(NTTドコモ)
- au モバイル通信サービス(KDDI)
- ソフトバンクモバイル
- イー・モバイル(イー・アクセス)
- 日本通信
- Amazonの商品が購入できる「ITmedia Store」
- 楽天の商品が購入できる「ITmedia Store×楽天市場」
- Yahoo! ショッピングの商品が購入できる「ITmedia Store×Yahoo!ショッピング」
- 製品最安値比較サイト:ITmedia +D Shopping
- ソフトウェアのライセンスはまとめ買いがお得:LICENSE ONLINE
- VAIOのことならお任せ!:VAIO LOVERS
- ソニーじゃなきゃもったいない!:SONY LOVERS
- 新製品を続々更新中!:マウスコンピューター・ステーション
- デルのお得情報をまとめてチェック!:DELL Power
- BTOならおまかせ!:EPSON Direct PC Channel
- PCパーツからオシャレなノートPCまで:msi style!
- ThinkPadがWeb限定特価!:Lenovo media
- FMVを安く買うならここ!:FMVマニア
- ディスプレイでデジタルライフを彩る:EIZOチャンネル
- 欲しかったアレがここにある!:ニーハオ!!上海問屋
- 進化を続ける最強NAS:QNAP NAS Channel
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.