大解説! “Broadwell-Y”な「Core M」はここがすごい(前編):14ナノメートル導入のメリットとは(1/2 ページ)
インテルが“軽量薄型”なデバイス向けに開発する次世代CPU概要が明らかになった。今回は、14ナノメートルプロセスルールの特徴を解説する。
厚さ9ミリ以下のボディで高性能を発揮するCore M
Intelは8月11日(現地時間)、同社の次世代半導体製造技術となる14ナノメートルプロセスルールと、このプロセスルールを採用する次世代CPU「Core M」(開発コード名「Broadwell-Y」)の概要を明らかにした。
IntelでBroadwellアーキテクチャを採用する14ナノメートルプロセスルールの開発を統括するIntel プラットフォームエンジニアリンググループ担当上級副社長のラニ・ボーカー氏は、Core Mの開発にあたり、「厚さ9ミリ以下のファンレスで2-in-1スタイルのデバイスに、Coreプロセッサー・ファミリーの性能を使ってもらうべく、アーキテクチャと半導体プロセスルールの最適化を図った」と説明する。
Core Mは、現行製品と同等の性能であればTDP(Thermal Design Power:熱設計消費電力)を半分以下に抑え、CPUパッケージのサイズも従来の半分にすることで、より薄く、軽量なシステムの構築を可能にする。
Intelは、このCore M搭載システムの第1弾が、2014年の年末商戦に登場するとしており、2015年の前半には多数のモデルが登場することで、14ナノメートルプロセスルールへの移行が本格化すると語っている。
第2世代に進化したトライゲート
Intelは、14ナノメートルプロセスルールを「第2世代のトライゲートトランジスタ技術」とも呼ぶように、22ナノメートルプロセスルールで採用した立体構造のゲートをさらに進化させている。
半導体を構成するトランジスタは、「ソース」と呼ばれる電流の貯蔵エリアと「ドレイン」と呼ばれる排出路の間に「ゲート」と呼ぶ堰(せき)を設けることで、電流を流したり流さなかったりという制御を行なっている。
このゲートの容積で、トランジスタに流す電流量が決まるため、Intelは22ナノメートルプロセスルールでトランジスタを微細化しても、ソースやドレイン、ゲートを立体構造にすることで、電流量を減らすことなく、高速なCPUを作れるようにした。
14ナノメートルプロセスルールでは、フィンと呼ばれる立体構造のソースとドレインの間隔やゲート間隔を狭めながら、一方でフィンの高さを増やすことで、微細化しても高性能CPUに必要な電流量を確保できるようにするとともに、トランジスタ密度をさらに高めることを可能にしている。
また、ゲート長が短くなったことで、ソースからドレインの間に電気が流れるときの遅延時間が抑えられ、動作クロックを引き上げることも容易になるため、トランジスタ上に複数のフィンを成形し、より大きな電流を流せるようにすれば、高性能なCPUを設計しやすくなるというメリットもある。
具体的には、第2世代のトライゲートトランジスタ技術を採用した14ナノメートルプロセスルールでは、現行の22ナノメートルプロセスルールと比べて、次のように微細化を実現した。
間隔 | 22ナノメートルプロセスルール | 14ナノメートルプロセスルール | 微細化の割合 |
---|---|---|---|
フィン間隔 | 60ナノメートル | 42ナノメートル | 約70%の微細化 |
ゲート間隔 | 90ナノメートル | 70ナノメートル | 約78%の微細化 |
インターコネクト間隔 | 80ナノメートル | 52ナノメートル | 65%の微細化 |
第2世代のキーワードは「狭くしたら高くする」
その一方で、ゲート高だけは34ナノメートルから42ナノメートルと約124%に拡大した。ゲートを高くすることで微細化にともなう電流量の低減を抑えるとともに、より少ないフィン数でトランジスタを構成することで、高密度化を可能にしている。
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