「SNSを制する物は古着を制す」下北沢で“古着とお米の交換サービス”を利用してみた(1/3 ページ)
下北沢を歩いていたら、偶然見かけた謎の看板。気が付けば「古着とお米を交換」している自分がいた。
下北沢の古着屋で奇妙な看板を発見した。古着とお米を交換できるという。しかも古着の査定額の2倍もらえる。
「?」が止まらないのだが、この看板自体がかなり面白い。頭に浮かんだのは「はだしのゲン」だ。戦時中に、都市部の人が農家に着物を持って行って、お米と交換していたシーンがよみがえる。
取りあえずスマホで写真を撮り、ツイートしてみた。
ツイートは数日かけて2000RT超え。ちょっとした「バズ」状態だ。しかしこの古着屋は、なぜこんなことをしているのだろうか。後日店舗に行ってみた。
服が好きすぎて食費がなくなった人のために考えた
対応してくれたのは古着屋「FLORIDA」の及川さんだ。
――なんでこんなサービスを始めたんですか?
及川 みんながもっと古着を持ってきてくれる方法を考えて、こうなりました。実はうちのスタッフで、ご飯を買えなくなるくらい洋服を買っちゃう人がいたんですよ。その人は自分の着なくなった服を売って、食費にしていたんですね。それなら「古着をお金じゃなくて直接お米と変えられるようにしよう」って考えたのがきっかけでした。
――実際にそんな食い詰めているような人が服を売りに来るんですか?
及川 やってみたら、お腹がすいている人はそんなには来なかったですね。でも、みんなが店内のお米を撮影してSNSにアップしてくれるんで宣伝効果は高いです。2合の小さいお米の袋とか、かわいいじゃないですか。みんなSNSネタが欲しいんだなあ、って思いますね。
「SNSを制する物は古着を制す」
――古着屋さんがSNS対策やっているなんて思いませんでした。
及川 うちではTwitterとインスタ(Instagram)とアメブロ(アメーバブログ)をやっています。Twitterは情報をたくさんあげても、流し見できるからいいですよね。インスタは連続して投稿すると嫌がられちゃうんで、雰囲気重視でかわいい写真を上げてます。アメブロは見てる人あんまりいないですね。
――そういうSNS戦略ってほかの古着屋さんもやっているんですか?
及川 やってますねー。お店によってはカリスマ店員がTwitterで出勤情報を上げたりしてるんです。それで来店につながりますからね。お客さんがインスタでお店のタグをつけてスナップをアップすると、お店の人がそれをまとめてコラージュして、お店のアカウントでアップし直したりしてるんです。そういうの見てると「うまいことやるな」って思います。
――実際にお客さんが来るのはすごい!
及川 売上に超つながるんですよ。「SNSを制する物は古着を制す」って思います。時代なんでしょうね……。
――名言だ。
ぼくは完全にこの店のSNS対策に「釣られていた」んじゃないか……。ツイートがバズって、取材にも来てしまったので、完全に手のひらの上だ。
お米は国産
――交換できるお米はどんなお米ですか? 安い外国米だったり……?
及川 千葉の「ふさおとめ」ってブランド米を使ってて、管理にも気を遣っているんで、そこは言っておきたいです! 店名が「フロリダ」なんでアメリカ米かと思われちゃうこと多いんですが……そんなことはありません。運営会社でカフェもやっていまして、そこで一括して安く仕入れることができるんです。
ちなみにこちらではお米は古着と交換するだけで、現金で購入することはできないそうだ。まあ米だけ買いに来られても困る。
古着をお米に交換してみた
――ぼくも服を持ってきたので、お米に交換するの、やってみてもいいですかね?
及川 本当に買い取っちゃって良いんですか? やった!
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