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新世代ミドルレンジGPU「Radeon RX 480」の性能をチェック競合最新GPUとの比較も(2/3 ページ)

AMDから登場した「Polaris 10」こと「Radeon RX 480」。NVIDIAに続きAMDも新世代GPUを投入し、いよいよ自作界隈が賑やかになってきた。DirectX 12とWindows 10にからんで、グラフィックスカードは買い替えどきでもある。性能はいかに?

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前世代のハイエンドに迫るパフォーマンスを見せるミドルレンジGPU

 今回は、あまりよい比較対象が集められなかったため、最近登場した新GPUをまとめて比較することとした。GeForce GTX 1080/1070はMSIの製品を使用した。MSI製品では3つのモードを切り替えられるので、NVIDIAのリファレンスクロックであるSilentモードを使用している。

 なお、AMDの主張としてはRadeon RX 480の2-way CrossFireでGeForce GTX 1080と比肩するという。Radeon RX 480は1枚しか調達できていないが、その可能性は見えるかもしれない。また、指標として、GeForce GTX 1080検証時に用いたGeForce GTX 980/980 Tiのスコアも、同じテスト条件のものに関しては添えておこう。

今回使用したMSIの「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」(手前)と「GeForce GTX 1070 GAMING X 8G」(奥)

検証環境
CPU Core i7-6700K
定格クロック 4
ターボクロック 4.2
メモリ(速度) DDR4-2133
メモリ Crucial Ballistix Sport 32GB Kit BLS4K8G4D240FSA 8GB×2
マザーボード MSI Z170A XPOWER GAMING TITANIUM EDITION
チップセット Intel Z170
ストレージ Crucial BX200(Serial ATA 3.0、480GB)
OS Windows 10 Pro 64bit
電源 Seasonic SS-1000XP(80PLUS Platinum、1000W)

 まずは3DMark。Overallで見ると、Radeon RX 480はミドルレンジながら健闘しており、GeForce GTX 980に近い値を出している。とはいえハイエンドのGeForce GTX 10シリーズとは差があるため、パフォーマンスを高めた新世代GPUの中では確かにセグメントの差がある。この点でPolarisのハイエンドモデルが待たれるところだ。

3DMark(Overall)

3DMark(Graphics)

3DMark(Combined)

 では以降、ゲームベンチマークを試していこう。まずはファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク。DirectX 11モードの最高品質で計測した。Radeon RX 480のスコアは、およそGeForce GTX 1070と1080の平均をとって半分にしたあたりに位置している。スコアとして見ると、Radeon RX 480は、1920×1080ドットのDirectX 11、最高品質で74.791fps出ており、フルHD液晶ディスプレイでゲームを楽しむ上では十分な値だ。

ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク

 続いてOverwatch。画質設定を最も高いEPICとし、Tutorialを用いFrapsで計測した。2560×1440ドットと3840×2,160ドットの値がおかしいが、これは計測した3つのGPUすべてで現れたため、おそらくゲーム側の問題と思われる。

 Radeon RX 480は、1920×1080ドットではなかなか良好な値で、100fpsを超えていた。ただし、そこから考えるとGeForce GTX 10シリーズのスコアが伸び悩んでおり、こちらには何かボトルネックが生じたのではないかと思われる。Overwatchは、プレイ自体は60fps出れば十分で、eSportsとして本格的に楽しむならば100fps超のフレームレートとそれを表示できるだけの液晶ディスプレイが欲しいところだ。その点で、フルHDであれば高リフレッシュレートのゲーミング液晶ディスプレイを組み合わせて十分に楽しめるだけのフレームが出ていたし、WQHD液晶をお持ちの方も、解像度そのままに通常のプレイを楽しむことができる。

Overwatch

 ここからはDirectX 12関連のテストを試していきたい。まずはHitaman。画質は全項目最高まで引き上げ、アンチエイリアスのみなしとした。1点、GeForce GTX 1080で、1920×1080ドットと2560×1440ドット時のスコアが60fps前後に抑えられる症状が見られたが、解消できなかったためそのままにしている。おそらく正しく動けばGeForce GTX 1070よりも高いフレームレートのはずだ。Radeon RX 480のDirectX 12の性能は、この結果を見る限りGeForce GTX 980/980 Tiに匹敵するものを持つようだ。

Hitaman

 続いてRise Of The Tomb Raider。Radeon RX 480のスコアは、30fpsという境界で見れば2560×1440ドットまで快適に楽しめそうなところ。その上で、スコア的には30fpsを割っているものの、3840×2160ドットのスコアが比較的持ったままであるところが特徴だろう。

 例えば、GeForce GTX 980では3840×2160ドットで大きくフレームレートが落ち込む。ここはグラフィックスメモリの容量がポイントだろう。最高画質で3840×2160ドットとなるとテクスチャなどのデータ量も膨大となり、4GBではあふれることもある。実際のプレイに関しては、快適なフレームレートを得るために画質を落とすことになるだろうから影響は少ないかもしれないが、8GBモデルが用意されていることのメリットと言える。8GBと4GB、どちらにしようかと迷った場合は、こうしたシチュエーションで楽しむかどうかで判断しよう。

Rise Of The Tomb Raider

 そしてAshes of the Singularity。画質オプションを最大のCrazyにしていることもあり、フレームレートは低め。Radeon RX 480のポジションも妥当だ。

Ashes of the Singularity

 VRパフォーマンスをSteamVR Performance Testで確認してみた。GeForce GTX 10シリーズはどちらも最高得点の11を出しているが、Radeon RX 480はそれよりは低い6.8ポイントだった。ただし、90fps以下のフレームもCPUバウンドフレームも0%だったため、GeForce GTX 10シリーズ2製品のスコアは、処理できたフレーム数での上積みということになる。Radeon RX 480の、低コストでVR導入を促すというアピールポイント自体は正しいと言えるだろう。

SteamVR Performance Test

 最後は消費電力。今回の検証環境での計測では、Radeon RX 480はアイドル時で62.3W、3DmarkのFire Strike/Ultra実行時の最大消費電力は219.5Wとなった。高負荷時に関しては、確かにほか4本のハイエンド〜エンスージアスト向け製品よりも低い値だ。アイドル時に関してはほかの4製品が50W台であったのに対して60W台という点でやや大きいように見えるが、これまでのRadeonの傾向と同じだろうか。

消費電力比較

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