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iPhone誕生10周年に見た「macOS」「watchOS」「tvOS」の進化(2/5 ページ)

インテリジェンス、プライバシー保護、VR――WWDC 2017から見えてきたAppleのこれからを林信行氏が解説。

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新macOSはプライバシー保護でIT業界と対決姿勢

 新OS、macOS High SierraにはSafari、メール、写真といった基本アプリを大幅強化した上で、macの性能の基本に関わる根底部分にもメスを入れている。

 Safariとメール、写真はいずれも動作が大幅に高速化されており、Safariに関してはGoogleのChromeと比べて1.8倍ほどの動作速度「世界で最も高速なデスクトップ用Webブラウザ」をうたっているが、それ以上に話題になっているのが「インテリジェント・トラッキング・プリベンション」(インテリジェント追跡防止)だ。


 Appleは、ユーザーの趣向などの情報を集めて広告で利益を得るIT業界全体の流れに反して、以前から徹底したプライバシー保護を大々的に推し進めてきたIT企業だが、そんなAppleの姿勢を改めて強く感じさせたのがこの機能だ。

 最近では一度、どこかのWebサイトで気になる製品の情報を見ると、検索結果のページでも、ソーシャルメディアや、Web媒体の記事を読んでいるときも、その商品の広告があなたのことをしつこく追ってくる。これはインターネットの広告会社が常にあなたの行動を監視してターゲティングしているからだ。

 インテリジェント・トラッキング・プリベンションとは、Safariの側に組み込まれたインテリジェント機能が、こうした広告会社による監視を防いであなたがどんなWebページを見たかといった個人情報が一切漏れないようにする。

 もちろん、相変わらず検索結果のページやソーシャルメディアやWebの記事には広告が表示されるので、Web媒体の収益がなくなるわけではないが、広く一般に向けた広告が表示される。これによってAppleはプライバシーを漁っていたインターネット広告会社と対決姿勢に入ることになりそうだ。

 徹底してユーザーの側に立つAppleの姿勢が感じられるもう1つの改良は「オートプレイブロッキング」だ。Webページを開いた途端に勝手に動画の再生が始まり、大きな音が流れるようなWebページがあるが、この機能を有効にしておくと、どんなページでも、動画はユーザーが再生ボタンを押さない限り再生されなくなるという。


 メール機能は検索機能が改良され、目当てのメールが見つけやすくなるのに加え、使用容量を最大で35%ほど削減するように進化する。

 一方、「写真」は画面デザインが見直されたほか、認識した顔がMacだけでなくiPhoneやiPadといった別のデバイスとも同期されるようになった。また、登録された写真をPhotoshopなどほかのアプリで加工した後、「写真」ライブラリー内に保存する、つまり加工後の写真を保管できる機能が加わった。さらに「写真」アプリの(紙の)フォトアルバムを作る機能は、発注先を選べるようになり、今後さまざまな会社のフォトアルバムサービスに対応していく。


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