「Raven Ridge」の実力は? Core i5と徹底比較(2/4 ページ)
AMDのRyzenがデスクトップ向けAPU「Ryzen 5 2400G」と「Ryzen 3 2200G」は、Ryzenによって従来から大幅に引き上げられたCPU性能と、Radeon VEGA世代のGPU性能によって、IntelのメインストリームCPUに対抗していく製品だ。
CPU性能は対旧APUで大幅向上 統合GPU性能は「かなり」強力
今回はグラフィックスカードを用いない前提で、Ryzen 5とRyzen3を従来のAPUおよびCore i5と比較してみた。旧世代のAPUは「A10-7870K」、Intel Core i5は「Core i5-8400」を用意している。システムに関しては、OS、ドライバ、ファームウェアともに最新のものだ。
CPU | Ryzen 5 2400G | Ryzen 3 2200G | A10-7870K | Core i5-8400 |
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メモリ | G.Skill FLAREX F4-3200C14D-16GFX(DDR4-2933、8GB×2) | G.Skill FLAREX F4-3200C14D-16GFX(DDR4-2933、8GB×2) | G.Skill ARES F3-2400C11D-16GAB(DDR3-2400、8GB×2) | G.Skill RIPJAWS F4-266C16Q-16GRB(DDR4-2666、4GB×4) |
マザーボード | MSI B350I PRO AC(AMD B350) | MSI B350I PRO AC(AMD B350) | MSI A88XI AC V2(AMD A88X) | MSI Z370 GAMING PRO CARBON(Intel Z370) |
システムSSD | Crucial MX300 CT750MX300SSD1(Serial ATA 3.0、3D TLC、750GB) | Crucial MX300 CT750MX300SSD1(Serial ATA 3.0、3D TLC、750GB) | Crucial MX300 CT750MX300SSD1(Serial ATA 3.0、3D TLC、750GB) | Crucial MX300 CT750MX300SSD1(Serial ATA 3.0、3D TLC、750GB) |
データSSD | Crucial MX300 CT1050MX300SSD1(Serial ATA 3.0、3D TLC、1050GB) | Crucial MX300 CT1050MX300SSD1(Serial ATA 3.0、3D TLC、1050GB) | Crucial MX300 CT1050MX300SSD1(Serial ATA 3.0、3D TLC、1050GB) | Crucial MX300 CT1050MX300SSD1(Serial ATA 3.0、3D TLC、1050GB) |
電源 | SilverStone SST-ST55F-PT(80PLUS Platinum、550W) | SilverStone SST-ST55F-PT(80PLUS Platinum、550W) | SilverStone SST-ST55F-PT(80PLUS Platinum、550W) | SilverStone SST-ST55F-PT(80PLUS Platinum、550W) |
OS | Windows 10 Pro 64bit版 | Windows 10 Pro 64bit版 | Windows 10 Pro 64bit版 | Windows 10 Pro 64bit版 |
旧世代APUに関しては、Bristol Ridge世代が1世代前となるが、あまり大々的に販売されていたわけではないので、Kaveri Refreshの7000番台のユーザーのほうが多いだろう。それに、Ryzen APUはソケットAM4、Kaveri RefreshはソケットFM2+なので、プラットフォーム(APU、マザーボード、メモリ)の大幅な変更が必要であり、その価値を見極めたい方も多いはずだ。
CINEBENCH R15でCPU性能を見ておこう。まずはCPUのスコア。ZenコアのRyzenであること自体に変わりはないため、おおよそ1000番台のRyzen 5、同3と同様の傾向が見て取れる。
A10-7870Kに対しては、どちらも大幅な向上が確認できた。Ryzen 5 2400Gについては倍以上だ。ただし、Ryzen 5 2400GがSMTに対応しているとはいえ、実6コアのCore i5-8400と比べると100ポイントほど下回った。Ryzen 3 2200GについてはSMT非対応のため570cbというスコアにとどまったが、A10-7870Kよりは大幅に向上している。
Single Coreのスコアでは、Ryzen 5および同3のスコアが逆転する現象も見られたが、およそ140cb台で、95cbだったA10-7870Kからは大幅に向上しており、170cb台を出したCore i5-8400と比較をするとややブーストクロックが足りずIPCもわずかに及ばない印象である。ただし、このスコアを見れば、メインストリーム向けCPUにふさわしいことは分かるだろう。
次にMediaEspresso 7.5によるソフトウェアトランスコード。こちらも最も速いのはCore i5-8400であり、Ryzen 5 2400Gでもそこから80秒ほど長くかかっている。A10-7870Kと比べれば大幅に向上しているので、CPU性能自体はかなり良くなっているが、Intel Coreと比べると物足りない部分はある。
PCMark 10を見ていこう。まずはOverallのExtended Score。トップはRyzen 5 2400G、それに次ぐのがRyzen 3 2200Gとなり、Core i5-8400を上回るスコアを記録した。
テストの詳細を見ていくと、Essentialsでは、OverallがRyzen 5 2400GでもCore i5-8400に届いていない。3つのテストのスコアで見ると、Ryzen 5 2400Gは、Video ConferencingやWeb BrowsingではCore i5-8400を上回っているが、App Start-upで差をつけられていることが分かる。CPU性能の影響なのか、ストレージに何かボトルネックがあるのか、少し気になるところだ。
ここで1度、CrystalDiskMark 6.0.0のスコアで確認しておこう。この結果を見る限りでは、少なくともAPU版Ryzenのストレージ性能はCore i5-8400とほぼ同等といえる。A10-7870Kについては一段低いが、Ryzenでそうした傾向は見られなかった。PCMark 10 EssentialsのApp Start-upについては、おそらくCPU性能側のボトルネックが出たのではないだろうか。
再びPCMark 10に戻って、Productivityでは、OverallはCore i5-8400がトップでRyzen 5、Ryzen 3はそれに次ぐポジションだった。意外なことに、SpreadsheetではRyzen 5 2400Gがトップ、Ryzen 3 2200GもCore i5-8400に並ぶスコアだった。ただし、WritingはCore i5-8400がトップで、Ryzen 5とRyzen 3は5000ポイント前後の同程度といったところである。
Digital Content CreationのOverallはRyzen 5 2400Gがトップで、2番手もRyzen 3 2200Gだった。個別のテストで見ると、CPU性能の影響が大きめのVideo Editingは先のCINEBENCH R15のスコアが示すようにCore i5-8400が大きくリードしているが、その他のPhoto EditingやRedndering and VisualizationといったGPUアクセラレーションが効くテストではRyzen 5 2400GおよびRyzen 3 2200Gが逆転した。
Gamingは指摘するまでもないだろう。CPU性能が関係するPhysicsを別とすれば、GraphicsもCombinedもAMD APU勢がリードしており、A10-7870K比でもRyzen 5 2400GとRyzen 3 2200Gは大きな差をつけている。
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