> 特集 2003年5月22日 02:39 PM 更新

特集「Think」って何?
IBMの凄みは“Think”してしまうことにある(1/3)

PC事業の新戦略“Think”ストラテジーを昨年発表した日本IBM。2003年5月をもって第一弾のラインアップが完成した。IBMの社是である“Think”の考え方を聞く

 5月22日に発表された「ThinkCentre(シンク・センター)シリーズ」そして「Think Vantage」の拡張により、日本アイ・ビー・エム(IBM)の“Think”ストラテジーの第一弾目のラインアップが完成した。

 IBMの“考える”“Think”の全体像について、同社のPC製品企画&マーケティング事業部の横井秀彦氏、越智賛氏、大久保宣江氏に“Think”ストラテジーの具体的な戦略の話を聞いた。

IBMは昔から常に“Think”していた

 昨年の11月に、突如として発表されてように思われるIBMの新ブランド“Think”。まずは、この“Think”ブランド誕生の経緯について尋ねてみた。

 「IBMでは、米国での創設当初から“Think”という言葉が社是として使われてきました。今回の新ブランド“Think”は、この社是を前面に押し出し、ブランド名の統一を図ったということです。つまり、IBMとして製品やサービスに対する基本的な“考え方”に変更はないわけです」。

 「IBMが考える“Think”とは、『どうすれば良い製品が作れるのか』『どうすればお客様が満足できるサポートを提供できるか』を常に“考える”ことです。コンピュータはデータ処理や計算を行うことができますが、考えることはできません。“Think”するのは人間、つまりはIBM社員の役割なのです。ビジネスを成功させる第一歩は“考えること”ですが、その結果知識として身についていくものです。そして今のところ“知識”は人間にしか生み出せません。IBMでは、昔からこういった考え方を大切にしてきたわけです」。

 とはいえ、何の考えもなしに製品やサービスを提供するメーカーはないはずだ。では、具体的にIBMの“Think”とは、どのような考え方なのであろう?

 「例えばたとえば、最近は仕事の仕方に変化が生じています。以前は各部署に1台しかなかったパソコンが、今や1人1台となり、さらにサーバやネットワークなど、複雑に絡み合ったシステムとしして機能しています。我々は、これらすべてを24時間体制でサポートしなければいけません。ここで重要となるのが『どれだけ迅速にトラブルを解消できるか』です」。

 「現在では、パソコンやネットワークなどにトラブルが生じると、ビジネスが停止してしまいます。このビジネス停止時間をどうやって短縮するか、我々はこれを“Think”してきました。本来の仕事ではなく、パソコンやネットワークの運用・管理に多大な時間を割くことは、(数字には表れなくても)ビジネスにとって大きなマイナスです。IBMでは、購入段階だけでなく活用段階における運用コスト(労力)までを総合的に“Think”した製品、サポート体制を提供していきたいと考えています」。


PCマーケティング マネージャー 横井秀彦氏

すでに具現化されている“Think”ストラテジー

 このようなIBMの考え方は“Think”ストラテジーとして、以前から具現化されている。ここでは、おさらいの意味をこめて、“Think”ストラテジーの具体例をいくつか紹介しておこう。

 まずは、“Think”ストラテジーの基本コンセプトであるが、そのキーワードは以下の4つとなる。

  • ワイヤレスコンピューティング
  • マイグレーション(移行)
  • セキュリティ
  • 製品

 「ワイヤレス・コンピューティング」については、今さらその重要性を語る必要はないだろう。“Think”ストラテジーとしては、「IBM Access Conections」により常に接続可能なネットワーク環境を監視し、最適な接続方法を自律的に選択するようになっている。

 「マイグレーション」とは『移行』という意味であり、データのバックアップやパソコン更新時のデータ移行を補助するためのものである。“Think”ストラテジーとしては、バックアップ&レストアツールの「IBM Rapid Restore PC」(今回、パワーアップしたRapid Restore Ultraが発表された)、クライアントPCの導入・移行を迅速に行える「IBM ImageUltra Solutions」(有償サービス)、既存のPCセッティングやメール、データなどを素早く新PCに移行できる「IBM Embedded System Migrator Assistant」などが用意されている。

 「セキュリティ」は、ソフトウェアだけでなく、ハードウェアも利用した対策が施されている。以前からThinkPadやNetVistaには、セキュリティチップというハードウェアが搭載されている製品があり、セキュリティソフト「IBM Client Security Software」と併用することで強固な保護機能を活用できるようになっている。

 パソコンの購入時において、上記のような機能は意外と軽視されがちである。それよりも製品スペックや価格に目が行ってしまう人が多いであろう。しかし、実際にパソコンを利用していくと、日々の保守・管理が重要であることを理解できるはずだ。特にビジネスに使用するパソコンでは、こういった側面が非常に重要な意味をもっている。

 たとえば、パソコン1台あたりの購入費用を2万円安くできたとしよう。そして、導入時のデータ移行に丸一日、以降はデータのバックアップや環境設定、セキュリティの確保に毎週2時間の作業が必要になるとしよう。これらの作業に要する時間的費用を考えると、購入時に節約した2万円などほんの小さなものでしかない。

[相澤裕介, ITmedia]

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