> 特集 2003年6月2日　04:02 PM 更新

特集「Think」って何？
デスクトップCPU初搭載〜ThinkPad G40開発者インタビュー〜（3/3）


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　「ThinkPad G40にはファンの回転数を制限するソフトを用意しました。例えば会議中など、パフォーマンスを犠牲にしても静かに動作させたい場面はあるでしょう。そのようなユーザビリティの観点から搭載しました。

　また最終的には前出のように冷却機構の完成度が高かっため問題なかったのですが、冷却機構だけではThinkPadの騒音基準を満たせないくらい、大きい音でファンを回転させなければならない可能性もありました。そこで当初回転数設定を5段階と細かく分け、ソフト的に回転数を落とすことを考えた時期もありました」。


ThinkPad G40には、強制的にファンの回転数を制限するソフトがインストールされている。冷却機構の出来が良かったっため、最終的には3段階の回転数設定となったそうだ

バッテリーにも工夫が必要

　そのほか「ThinkPad G40」では、搭載するバッテリーにも工夫が必要であったという。これもデスクトップ用CPUを搭載したがためのハードルである。

　「ThinkPad G40は、基本的に卓上での使用がメインとなるため、バッテリー容量についてはさほど心配をする必要がありませんでした。ただし、配慮しなければいけない点はあります。それは、電源がONの状態でいきなり電源ケーブルを引き抜いてしまった場合への配慮です」。

　「普段、コンセントに接続している場合、ノートPCはフルパワーの状態で稼動しています。この状態でいきなり電源ケーブルを引き抜くと、瞬時にバッテリー駆動モードに切り替わるわけですが、『電源ケーブルを引き抜いた瞬間』と『バッテリー駆動モードに切り替わる瞬間』にはコンマ数秒の時差が生じてしまいます。このわずかな時差の間は、バッテリーから電源を供給しなければいけません。しかし、動作モードはフルパワーのまま。バッテリーはフルパワーで駆動するのに十分なだけの電力を、瞬発的に供給できなければいけないのです」

　「通常のモバイル用CPUを搭載しているのであれば、消費電力が小さいため、この“時差の間”の電力を十分に供給できます。しかし、デスクトップ用のCPUでは消費電力が全然違うため、入念な検証が必要です。その結果、大きな電力を必要とするPentium 4/3.0GHzモデルだけは、ニッケル水素バッテリーの搭載を見送り、比較的ハイパワーなリチウムイオンバッテリーを標準装備することにしました。これではコスト的には不利になってしまいますが、あらゆる状況に対して確実な安定性を提供するThinkPadにとっては、止むを得ない選択といえるでしょう」。

　冷却機構やバッテリーに代表されるように、ThinkPad G40ではあらゆるパーツ、設計について入念な検証が施されている。これはメーカーとして当然の行動といえるが、さらに安定性・確実性を十分に保証するだけのマージンが確保されているのである。そのためにコストがかさんでしまっても仕方がない。他のPCよりもレベルの高い、絶対的な安心感を提供できるのが「ThinkPad」なのである。


ポータブル・システムズ 製品開発統括担当 次長 大穂一彦氏

G40の特徴は、ノートPCであり、デスクトップPCであり、そしてThinkPadであること

　最後に、「ThinkPad G40」全般に関して、開発中の感想などを述べていただいたので紹介しておこう。

　「今回のThinkPad G40は、全く新しいスタイルのノートPCを作成するということもあり、非常に楽しみながら開発することができました。完成した製品には、初期の予想以上に満足していますし、堂々と“ThinkPad”という名前を付けることができる製品に仕上がっています。ノートPCでありながらデスクトップPCの良さを兼ね備えている製品といえるでしょう」。

　「IBM全体から見ても、ThinkPad G40に寄せられる期待は非常に大きいですね。特に日本のマーケットでの期待が大きいといえます。これは、ThinkPad G40が最初に日本で発表されている、という点からも納得していただけると思います。IBMでは世界同時、もしくはアメリカで製品発表をしてから日本などの他地域で発表する、これが通常のパターンです。つまり、今回は発表の順序が異例なのです。それだけ、日本での需要を期待しているわけです。もちろん、その期待に答えるだけの自信は十分にありますね。それだけ完成度の高い製品です」。

　日本アイ・ビー・エムのオンライン直販サイトをはじめ、「ThinkPad G40」は全モデルが販売を開始されている。これを機会に、みなさんも各自の目で「ThinkPad G40」を検証してみていただきたい。

順次掲載予定

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