> レビュー 2003年12月8日 08:35 PM 更新

インクジェットプリンタ絵作り大研究――第1回「自動調整時の色合い」(3/5)


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素直で癖の少ない発色傾向が魅力のPM-G800

 基本的にはPX-G900と同様の色作りがなされているはずのPM-G800。確かにトーンカーブの作り方などを見ると、同じエプソンの血が入っていることが解る。キャンギャルの写真では、PX-G900と同じようにオーバー目の写真を苦手にする傾向が見られる。

 ただし、PX-G900はキッチリとゼロから始まるシャドウでは良好な絵となるのに対して、PM-G800ではレタッチ後の印刷結果はシャドウが潰れ気味になっている。このあたりがエプソンの言う“顔料と染料のシャドウ域再現性の違い”なのかもしれない。また、肌色では黄色が多少強めに出ているのが解るはずだ。この例では、たまたまよい結果として出ており、PX-G900よりもふくよかな表情となっているものの、赤いフチ取りまで朱色に近い発色になってしまっているのは多少気になる。


左がレタッチ前、右がレタッチ後の画像を印刷した結果

 もっとも、この黄色が強いという現象は、製品の個体差なのかもしれない。筆者は発売前から通して3台のテスト機を使ってみたが、今回使った製品が特に黄色が強く出ているように思えるからだ。どのプリンタにも若干の色の偏りがあり、同じ機種でも異なる色味に見える個体もある。後述するが、他の印刷結果も黄色の強さが目立っており、以前にテストした時の素直な色味が失われている印象だ。

 実は他の評価記事で、“PM-G800の色バランスはダークイエローを使っていた頃よりも色転びが少なく、狙った色を出しやすい製品”だと評価したが、今回の結果だけを見ると“黄色の強さが目立つ”となってしまうだろう。ただし、ダークイエローの廃止によるよい影響は確実に出ているようで、シャドウ部の中で急に色相が黄色側に振れる悪癖は見られなかった(もちろん悪い部分もあり、ダークイエローでカバーしていた肌のシャドウ部表現は滑らかさに欠けるきらいはある)。

 黄色の強さは、特定の夕景ではよい結果をもたらしている。以下の夕景写真を見ると、右下の夕景で太陽の周囲が赤くなりすぎているのが分かるだろう。右上、左下では黄色がきちんと出ており、PX-G900のような薄味な印象はない。左上の夕景は非常に鮮やかで、元データの雰囲気を失わない範囲で好ましい色に仕上がっている。


左上の夕景で、黄色が強く出過ぎている原因は不明。全く異なる印象の風景になってしまった。ただし本文中でも述べたように、以前に試用したG800ではこのような印刷結果とはならなかった。

 それ以外の画像を以下に紹介するが、気になるポイントは大きく分けると二つ。

 まず、前述したように絵柄によっては黄色の強さが目立つ。たとえば子供の写真で、肌色がかなり黄色に転んだ(実際の出力物はスキャン結果よりももう少し黄色く見える)。明るさも多少暗めでコントラストも低く、人物があまりキレイに見えない。カモメの写真も同様の傾向だ。

 もう一つは、イソバナの深紅で色が飽和していること。データ上でも飽和している部分はあるのだが、PM-G800での印刷結果は全体が飽和している。

 ただ、全体的にはバランスが良く、昨年までのエプソントーンを正統に引き継いでいるのは、PX-G900ではなくPM-G800だと感じる。たとえばクマノミの写真では、鮮やかなオレンジと赤紫のコントラストがうまく表現され、パリッと見栄えのする写真になった。紅葉の写真もハッキリ、クッキリの傾向が強く、PX-G900よりも派手な絵作りとなっていた。











[本田雅一, ITmedia ]

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