ビルにも迫る第4次産業革命、一括パックのIoTサービスで遠隔監視を簡単にFM

東芝は、ビル設備などの管理・監視を容易にするため、装置のデータ収集と蓄積、稼働状況データの見える化サービス、運用サポートまでをパッケージ化したクラウドサービスを発売する。

» 2016年07月08日 06時00分 公開
[三島一孝BUILT]

 東芝が今回発売するのは、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)による設備の稼働監視を簡単・迅速に導入可能としたパッケージ製品となるIoT基盤のクラウドサービス「IoTスタンダードパック」である。

 IoTによる産業の変化は、「第4次産業革命」として大きな注目を集めている。IoTを活用しさまざまなモノがセンシング機能と通信機能を持つことで、機器がどういう稼働状況になっているかを把握することができるようになる。これをビルなどの設備管理に活用すれば、ビル設備の異常発生時に、動作不能時間を大幅に低減することができる他、これらのデータを継続的に収集し続け、分析することができれば「故障が起こりそうな時期」などの把握なども可能となるとされている。

 しかし、これらの「見える化・遠隔監視」の仕組みを導入するためには、利用部門で実施するセンサーなどの設置や、各種設定などの事前の準備作業や現場の作業でエンジニアリング業務が増大し、コストはもちろん、システム導入から実稼働までが長期化するという課題があった。

 東芝が今回投入するのはこれらの手間やコストを低減するために、こうした一連の仕組みをパッケージ製品としてまとめて提供するものだ(図1)。

photo 図1 「IoTスタンダードパック」のサービスイメージ図 出典:東尾司馬

 提供する「IoTスタンダードパック」では、あらかじめ管理・監視対象とする装置の種別や属性情報、インタフェース、データ種別の情報などをテンプレート化して準備しており、これまで利用部門ごとに実施していた準備作業や現地作業のエンジニアリング業務を簡素化することができる。現場での「プラグ&プレイ機能(つなぐだけで使える機能)」によって、装置とエッジゲートウェイをつなぐだけで接続が完了する。

 さらに、データを取得するエッジ側で多種多様な装置との高速通信や計測値に対し、ルールに従った検知・制御などを一次処理し、クラウド側では分析やルール設定などを高度化。エッジ側とクラウド側との協調・分散処理を行うことで、全体最適な遠隔監視サービスを実現する。これにより、全体のネットワーク負荷を低減し、安全で経済的な運用が可能となる。

 東芝では今回のサービスを、プラントやビル設備・産業用機器の遠隔監視による故障検知や、エネルギーマネジメント、製造工場での歩留まり向上などに提供していく方針を示している。

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