AI・IoTで「人と空気」を分析、生産性が高まるオフィスを構築FM

ダイキン工業とNECは両社の空調制御技術やAI・IoT技術の活用により、知的生産性を高めるオフィス空間の実現に向けた共同研究を開始する。空気・空間が人に与える影響を分析し、最適なオフィス空間を構築する。

» 2016年10月25日 06時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 ダイキン工業とNECは2016年10月24日、オフィスなどにおいて「知的生産性の高い空気・空間を実現するため」の共同研究の実施に合意したと発表した。ダイキン工業が持つ空調制御技術および空気・空間が人に与える影響に関する知見と、NECの持つAI(人工知能)・IoT関連技術を組み合わせ、新サービスの創出を目指す狙いだ。

 昨今オフィスの快適性や生産性向上に向け、IoTを活用したより高度な空調・照明の制御技術や人の快適度の測定など、さまざまな研究開発が行われている。一方、空間や空気そのものの状態と、それらが人に与える影響・因果関係などは不明確な領域も多く、より高度な分析が求められている。

 ダイキン工業は空調機器を中心とした空気制御の分野において多くの技術とノウハウを持つ。同社ではビジネス領域拡大に向け、顧客の求める「空気ニーズ」に対応した空間の創造など、付加価値の創出に向けた取り組みに注力している。

 NECは同社のAI技術群「NEC the WISE」の1つとして、個人認証技術や予測制御技術など、さまざまな独自のAI・IoT関連技術を持つ。そしてこららの技術を活用した、具体的なソリューション開発を推進中だ。こうした背景から今回両社は、協創パートナーとして「知的生産性を高める空気・空間」という価値を提供するソリューションの実現を目指し、共同研究および実証を開始した。

 具体的な研究テーマは主に3つある。1つが空間利用状況のモニタリング情報に基づき、NECのAI技術で室内の温湿度を学習・予測。その結果をもとに空調や照明・その他オフィス設備を最適な状態に自動制御し、快適性と省エネ性を両立する技術の開発である。

 2つ目が人の状態(ストレス、心理要素)を見える化し、個々のオフィスワーカーのバイタルデータ(血圧、心拍数など)を加味した温湿度、照度との相関関係の明らかにすること。3つ目がこうした個々のオフィスワーカーの業務内容と心身状態に相応しい環境を構成し、知的生産性を高める空気・空間を創出することである(図1)。

図1 研究開発を行うソリューションのイメージ 出典:NEC

 共同研究は2015年にオープンしたダイキン工業の技術開発拠点である「テクノロジー・イノベーションセンター」(大阪府摂津市)において実施する。実際のオフィスや実験室を活用して実証に取り組む予定だ。

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