建設業の生産支援クラウド「フォトラクション」、図面表示技術に関する特許出願現場管理

建設×ITのスタートアップ企業CONCORE’S(コンコアーズ)は、建築・土木の生産支援クラウド「Photoruction(フォトラクション)」の新たな図面表示機能を開発した。2017年に開発されたフォトラクションは、今では大小の建設会社をはじめ、検査会社、不動産会社など、業種・職種を超えて活用されている。代表の中島氏にフォトラクションの新機能と今後の開発方針について聞いた。

» 2018年04月12日 06時00分 公開
[石原忍BUILT]

 建設業向けにITサービスを提供しているCONCORE’S(コンコアーズ)は、建築・土木の生産支援クラウド「Photoruction(フォトラクション)」の図面表示に関する新たな機能を開発し、特許を出願した。フォトラクションは現在5000以上の現場で導入されており、建設現場をWebブラウザ上で「見える化」して、作業効率の改善に活用されている。

タブレットやモバイルで図面や工事写真を効率的に管理できるフォトラクション

 フォトラクションは、建築や土木の生産過程で必要な写真や図面といったデータを効率良く管理し、施工監理や資料作成などの現場業務の効率化を目的としたクラウドサービス。必要な情報をクラウド上のプラットフォームに集めることで、同時進行している複数のプロジェクトを一元管理できるようになる。また、工事写真台帳や現場の野帳などの各種資料を作成する際にも、現場でアップした写真をクリックしていくだけで、タブレット上で簡単に作成できる。

 特許の出願対象となった画像処理技術は、図面上に記載する注釈を多層的に管理するとともに、設計図面をバージョンで管理して、過去にさかのぼって閲覧が可能な機能。あらゆる状態の図面データにアクセスすることで、通信環境とタブレットが1つあれば検査や記録の手間が大幅に省ける。

多層的なレイヤーで図面を管理
コンコアーズ 中島代表

 開発目的についてコンコアーズ代表取締役・中島貴春氏は、「会社設立前、大手ゼネコンで施工監理に携わっていた経験から、現場で発生するさまざまな問題を解決すべく開発に着手した。2016年の起業後は、建設会社でのβテストを重ね、2017年7月に正式リリース。現行のバージョンは、度重なるアップデートを経て、建築・土木の施工会社をはじめ、空間デザイン設計、外資系不動産、研究機関など、建設に限らない多様な現場で運用されている。今回の特許出願は、技術開発にウェートを置いている会社という立ち位置を明確にするために行った」と語る。

 これまでにも、設計図面や工事写真をクラウド管理するサービスはあったが、フォトラクションが選ばれる理由を「専用のアプリやソフトが不要で、一般的なブラウザ上で動かせることが多くの導入先企業から評価されている。ネット環境さえあれば、どこでも使えるというメリットに加え、実際に読み込むPDFデータも、内部処理で一度最適化させているため、数百MBのファイルサイズでも表示は一瞬。拡大・縮小はもちろん、矢印、文字などの注釈加筆もストレスフリーで操作できる」と説明する。

ブラウザ上の図面に注釈を入れることができる

 蓄積されたデータは、いつでも取り出せるため、社内システムと連動させたリアルタイムでの情報共有やマネジメント、ゼネコンが非ユーザーの下請け企業にURLで共有して工事説明に使うなど、これまでにない活用方法も想定している。

 「今後は、設計事務所から要望があった複数の図面を重ねてどう変わったか、差分が一目で分かるような機能を取り入れていきたい。将来的には、作業員のスケジュールや工程表なども含め、現場で扱うあらゆる業務データを1つに集約させたクラウドサービスを提供できれば。集めたデータをAIや音声認識などで分析し、生産性向上や利益率アップに貢献できるサービスを展開することも視野に入れている」(中島氏)。

【訂正】記事の初出時に、「Photoruction」のプラン料金を明記していましたが、価格改定に伴い、該当部分を削除しています(2023年11月24日15時28分)。

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