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» 2018年05月15日 06時00分 公開

インフラメンテナンス国民会議:第1回ドローンによるインフラ点検の動向・最新技術のフォーラム開催 (2/3)

[石原忍,BUILT]

ルール作りと環境整備が社会実装には必要

 学識者では、東京大学大学院工学系研究科精密工学専攻の淺間一教授が、ドローンを含めたロボットによる社会インフラ点検・維持管理を空の産業革命と位置付け、必要なルールと環境整備について説明した。

橋梁の床版などの近接目視や打音検査の代替ロボット実験

 ロボット産業はサービス分野を中心に2035年には9.7兆円にまで拡大が見込まれる。こうした背景から、開発から検証、評価までの一貫性ある次世代社会インフラ用ロボット開発・導入の推進体制が急務となり、社会課題対応システム開発プロジェクトが設置された。

 プロジェクトでは、2016年から性能評価基準の策定に取り組んでいる。優先的に行うことが適切とされる4つの対象分野ごとに、実証試験を通じて各種ロボットに求められる性能を把握し、性能や操縦技能に関する評価基準や検証方法の確立を目指す。そのために「福島ロボットテストフィールド(RTF)」の試験設備提案の継続と確実な導入支援、さらに国内制度改正と国際標準化を見据えた実機の検証が求められるとした。

対象分野 対象ロボット
物流、災害対応 無人航空機
橋梁点検 無人航空機
ダム、河川点検 水中点検ロボット
トンネル災害 陸上移動ロボット
性能評価基準の対象分野と対象ロボット

 このうち橋梁点検に関しては2018年1月、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、富士通、NEC、イクシスリサーチ、エンルート、プロドローンとともに実施。橋梁の点検プロセスに沿った試験と風などの外乱を考慮した飛行安定性の性能評価を行うための試験環境の妥当性を検証。福島RTFの試験用橋梁で実施できるように、ここで得られた知見を福島県へ提供した。

模擬橋梁による実証実験 出典:NEDO(クリックで拡大)
福島RTF試験用橋梁の完成予想図 出典:NEDO(クリックで拡大)

 一歩進んだロボットとして、橋梁の打音検査や近接目視を代替する飛行ロボットシステムの検討に乗り出している。受動回転球殻ヘリで橋梁の床版、桁間、橋脚など車両アームが届かない場所を近接目視でき、東北大、リコー、千代田コンサルタント、JAST、東急建設が参画して開発テストを行っているという。

2020年から目視外飛行の実装・運用を目指す

 同じ東京大学大学院から、工学系研究科 航空宇宙工学専攻の鈴木真二教授も登壇。ドローンの社会実装に向けた課題と関係団体の取り組みが紹介された。

 FAA(米国連邦航空局)の予測では、ドローンの台数は2016年の10万台から2021年には350万台に、操縦士は2万人から20〜40万人にともに増大すると見込まれている。

2016年 2021年
台数 110万台 350万台
産業利用 4万2000台 44万2000台
ドローン操縦士 2万人 20〜40万人
FAAの米国でのドローン市場予測

 拡大する市場に対し、航空機の認証技術である国が証明する型式証明と、自動車の車検にあたる耐空証明にそれぞれ代わるルール作りの必要性を説いた。鈴木氏がともに代表を務める日本無人機運行管理コンソーシアム(JUTM)、(一社)日本UAS産業振興協議会(JUIDA)では、実証実験や安全に関するガイドラインの策定を進めている。JUIDAは、民間レベルでの安全運航や管理者証明を発行していると説明した。

 研究機関からは、ドローンの目視外飛行で乗り越えなければならない壁とされる電波リスクについて、国立研究開発法人情報通信研究機構ワイヤレスネットワーク総合研究センター(NICT) 三浦龍氏が研究開発動向を紹介した。

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