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» 2018年08月09日 12時00分 公開

道路管理×センシング:商用車に搭載して“業務中”に道路状況を取得、宇治市で実証実験スタート

村田製作所は、独自のセンサー技術と画像技術を組み合わせた走行しながら道路状況の情報を取得できる「路面検知システム」を開発した。2018年7月1日〜2019年3月末、京都・宇治市とソフトバンクの3者が共同で実証実験を行う。

[石原忍,BUILT]

 村田製作所は、商用車に搭載でき、通常業務中に走行するだけで、路面情報を取得できる「路面検知システム」を開発した。

雨天時にも水はけの悪いスポットなど、路面データが取得可能

 村田製作所が開発したシステムは、ジャイロセンサー、加速度センサー、ショックセンサー、マイクで構成。センシングで得られるデータをもとに、さまざまな環境下において、道路の老朽化度合いなどの路面状況を「見える化」する。これにより、効率的な道路保全を実現するプラットフォームが構築できる。

村田製作所が開発中の「路面検知システム」 出典:村田製作所

 システムは、一般車両に搭載することができ、配送業の車両に積めば、通常の配送業務の傍らで、路面の陥没や亀甲状クラックなど、道路状態の情報を収集することが可能。配送車には、既存の配送ネットワークがあるため、広大なエリアの情報網が自動的に形成される。

 取得した道路情報は、クラウドへアップロード。解析後にデジタル地図に反映され、状態に応じて「劣悪」〜「良」のカテゴリーごとに、色分けして分類表示されるため、一目で地図上の路面状況が把握できる。

取得データのイメージ 出典:村田製作所

 今後同社では、他社の路面情報を取得するIoT技術との差別化として、雨が降っていてもモニタリングできる技術の開発を進めていく方針。将来的に、水はけが悪く、降雨時には水たまりになってしまうスポットなど、天気が悪いときにしか問題が顕在化しない箇所の情報も得られるようにしたい考え。また、寒冷地などの凍結した道路状況の可視化にも取り組んでいくとしている。

 凍結などの天候とともに変化する路面情報は、これからの「自動運転社会」に必要とされる高精度マップで必須の情報とされているため、村田製作所ではシステムから得られた情報をリアルタイムに提供することで、自動運転社会への貢献も構想。システムの事業化に向け、さらなる実証実験を計画している。

 路面検知システムを導入することで、道路管理者である自治体は、Web上で一元的に道路状況を管理し、道路保全の効率化と行政サービスの向上を図ることが実現する。これまで路面の状態を把握するためには、熟練した作業員が専用車両を使って定期的に巡回する必要があり、多くの費用や時間がかかっていた。

 IoTを活用して、効率的に路面の状態を把握することで、大幅なコスト削減がもたらされる。日常的なモニタリングによって早い段階で劣化を発見して対処するなど、従来の事後保全から予防保全への転換が可能となり、道路の維持管理にかかっていた点検費用の削減にもつながる。

システムでは路面のひび割れ、陥没、水はけなどの情報を分析する

 実証実験は、ソフトバンクの高精度な位置測位ができる準天頂衛星を利用した技術を使って、宇治市内において2018年7月〜2019年3月末の期間、実施する。

 実際に路面検知システムを配送業などの商用車に搭載し、市内の路面データを取得して有効性を探る。収集したデータは、ソフトバンクのIoTプラットフォームを利用して、一元管理できるようにする。

 ソフトバンクは、今回の実証実験を通して、路面情報の収集に必要な車両数や収集データの精度を確認する他、路面の状態を自動で解析するシステムの検証などを行い、商用化に向けたソリューションの構築を目指す。

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