生体・位置・作業環境の情報を一元的に取得・分析するIoTツール、大成建設現場管理(1/2 ページ)

大成建設は、インフォキューブLAFLAの協力のもと、IoTを活用した従業員の作業状況を“見える化”するツールを開発した。既に同社の土木作業所2カ所で実証実験を行ったという。

» 2018年08月14日 11時00分 公開
[石原忍BUILT]

 大成建設は、生産施設を対象にしたIoT技術を用いた作業員の体調管理、位置情報、作業環境の各種データを統合してリアルタイムに把握するツールを開発した。実証試験は、同社の土木作業所2カ所で行い、今後、実際のフィールド(生産施設や工事現場)でさらに検証を行って実用化を目指し、2018年度中にビジネス展開していくという。

生体・位置・作業環境の複数データを一元的に取得し、総合的に分析

 ツールは、大成建設の技術的なノウハウと、インフォキューブLAFLAのリアルタイムで位置情報を取得および表示する技術を組み合わせて開発。作業状況を考慮した動線やレイアウトの設定、無駄のない作業計画の立案による効率化と、作業見守りによる不安全行動の抑止や熱中症防止といった安全性の向上も実現する。

 導入対象は、まずは人が作業をする生産施設全般。工場としては医薬品工場・食品工場・化粧品工場など、物流施設としては物流センターなどをメインに想定している。

 開発の背景には、生産労働人口の減少や従業員の高齢化が社会問題となる中、作業の効率化や安全性向上は、生産施設で重要視されていることがある。近年、これらのハードルに対し、施設や装置の改善だけでなく、従業員の作業状況を把握するための新しいソリューションが求められており、心拍、体温、姿勢などの身体の状態、所在、作業環境をモニタリングする多様なツールが開発されている。

 しかし、これまでのツールでは、生体や位置などの情報から作業状況などに関わる複数種データを抽出して、関連性を分析するには長時間を要していたのがネックだった。

見える化ツール概要 提供:大成建設

 課題解決のために、大成建設は、複数データの統合的な分析をスピーディーに行うため、複数の情報を一元的に取得し、分析するツールを構築。このツールは一つのアプリケーション上で、取得した各種データの関連性を総合的に分析することができるのが特長。

 取得データは、「生体データ」「位置データ」「作業環境データ」の3種類。このうち、生体データは、バイタルセンサーとトランスミッターが付いたウェアラブルシャツやスマートウォッチで、心拍、体温、姿勢などの情報を取得。常時従業員の身体状態を把握して、体調管理に役立てる。

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