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» 2018年08月17日 06時00分 公開

日本屋外広告フォーラム 杉本委員長(ADK局長)に聞く:「屋外広告×ソーシャルメディア」の可能性を調査・研究、日本屋外広告フォーラム (1/4)

ビルの屋上や壁面に掲出されている屋外広告(Out of home media)――。屋外広告の業界には長い間、広告効果の目安となる指標が存在しなかった。この指標を策定するべく、1999年に任意団体が設立され、繁華街の歩行者向けと、ドライバー向けの2つを対象とした国内初となる屋外広告の効果指標を計算することができる「屋外広告指標推定システム」が構築された。現在は次のステップとして、ソーシャルメディアとの関連性を探る調査が進められている。

[石原忍,BUILT]

 国内の主要広告代理店や媒体社(広告枠を開発・保有・販売する会社)ら65社で構成されている「日本屋外広告フォーラム」。広告効果の指標となる指標推定システムが構築されたことで、次の段階として、屋外広告のデジタル化やソーシャルメディアとの親和性にスポットを当てた取り組みが進められている。

 フォーラムで推進委員長を務めるアサツー ディ・ケイ アウトオブホームメディアビジネス局 杉本隆局長に、最近のフォーラムの取り組みやこれからの方向性、屋外広告を取り巻く景況感などを聞いた。

繁華街の歩行者用媒体とドライバー用媒体の視認者数を推定するシステム

日本屋外広告フォーラム 推進委員長・杉本隆氏(ADK アウトオブホームメディアビジネス局局長)

 屋外広告の市場ではかつて、広告枠によって年間契約または月極めだったりと、媒体ごとに契約形態が異なるため、エージェンシーや媒体社が一つにまとまって業界標準を作るのは難しいとされていた。そのため、広告を掲出した際の目安となる効果指標が、大手代理店が独自にまとめたもの以外には無かった。

 海外では、米国を例にとると、自動車社会の発展とともに、大型のロードサイドボードなどがネットワーク化し、交通量(サーキュレーションデータ)をベースにした効果指標が日本よりも先に運用されており、 国内でも 同様の業界共通の指標策定を以前から求める声は根強くあった。

 こうしたニーズを後押しにして1999年には、国内で広告研究の先駆者として知られる早稲田大学名誉教授の故・小林太三郎氏が発起人となり、業界標準の広告効果管理データの策定を主目的にした「屋外広告調査フォーラム(現・日本屋外広告フォーラム)」が発足した。後に城西大学経営学部教授の清水公一氏が会長職に就き、「屋外広告指標調査研究プロジェクト」を立ち上げ、2012年には「屋外広告指標推定システム」が構築された。現在は、繁華街の歩行者用媒体と、ドライバー用媒体を対象にしたDEC(Daily Effective Circulation)や推定視認者数といった2つの指標を会員社に提供している。

屋外広告指標推定システムのトップ画面

 歩行者用媒体の指標は、媒体が設置されているエリアのDEC(来街者数)と、広告枠の面積などの設置形態を数値化し数式によって導き出す仕組み。DECのベースにはビデオリサーチの来街者データを用い、媒体の設置されている「エリア」と駅北口や南口などの「スポット」を指定することにより、来街者数を算出。これに広告枠の面積、角度、高さ、照明の有無といった属性からはじき出される数値を掛け合わせ、媒体ごとの推定視認者数を計算している。

 ドライバー用媒体の指標は、媒体が設置されている道路区間の視認可能な通行者数を表示する仕組み。DECのベースには国土交通省が5年毎に更新している全国道路・街路交通情勢調査「道路交通センサス」や高速道路各社が毎年更新している交通量データを使っている。フォーラムでは1車両につき、1.38人/台で計算し、視認者数を算定している。

屋外広告指標推定システムの歩行者用画面
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