UAVレーザー計測の現状と課題、何を目安に機器を選ぶか?UAVレーザー計測(1/3 ページ)

昨年開催された「G空間EXPO2018」のベンダーセミナーで、ドローン測量の現状と課題についての講演が、快適空間FCにより行われた。

» 2019年01月17日 07時00分 公開
[石原忍BUILT]

 地理空間情報(G空間)をテーマにしたイベント「G空間EXPO2018」が2018年11月15日〜17日、東京・お台場で開催された。ベンダーセミナーの中から、産業用空撮に関わる各種サービスを展開している快適空間FCによる「UAVレーザー計測における現状と課題」をテーマにした講演を取り上げる。

UAVレーザーでは100点/m2以上の高密度点群を生成

快適空間FCによる講演

 快適空間FCによると、レーザー技術自体は目新しいテクノロジーではなく、もともとは航空機に搭載して行っていた既存の技術。ここに来て、計測機器の軽量化・小型化に加え、ドローンの機体大型化や長時間飛行が可能になったことに伴って、UAVのレーザー計測は実用段階に入った。

 レーザー測量では、GNSSでアンテナを使って位置を捉え、IMU(慣性計測装置)でレーザーを発射した方向を計算して3次元点群データを作成している。レーザー本体やIMUがコンパクトになったことで、ドローンへと簡単に搭載できるようになった。

 UAVレーザー測量では、1フライトで400×400m(メートル)の計測が可能(平たん地の場合)。しかし、当然のことながら、山や谷など起伏の激しい場所は、計測範囲は狭まってしまう。

UAVレーザーシステム

 快適空間FCが行っているUAVレーザー計測のサービスでは、撮影後、事務所にデータを持ち帰らずとも、現場のPC上でリアルタイムにマッピングできるメリットがある。データを持ち帰っても、撮れていなかった場合は、再度取り直しに行かなくてはならないが、その場で取得データを確認できるため二度手間が生じない。

 また、草や葉に覆われている植生があっても、地表データが得られるる。レーザーの光は、葉などに当たると跳ね返されてしまうため、その間を通ったレーザーが地形データとして残る仕組み。

 UAVレーザーには、機器を搭載できる重量に限りがある。例えばDJI社「Matrice 600 Pro」は、およそ5.5kg(キロ)までのGNSSがペイロードの限界。だからと言って、レーザーについているIMUを小型にすればいいかと言うと、そう単純な話ではなく、小型サイズになればなるほど、データの精度は劣ってしまう。

UAVレーザー計測の概要

 IMUの性能を最大限引き出すためには、8の字フライトや初期化(アライメント)を十分に行うことで、カタログスペックに近い精度を出すことができる。キャリブレーションやアライメントを行う際は、8の字飛行が原則とされる。山岳部などでは誤操作が起きかねない手動操作ではなく、プログラムによる飛行を推奨している。

 UAVの良さは、低高度で撮影するため、航空機に比べて密度の濃い、平米あたり100点以上の点群を生成することができる点がある。i-Constructionのルールでは、10cm(センチ)に1点を拾うことが求められるため、それに沿った飛行計画を立案することも必要となる。

 さまざまなレーザー計測のシステムは増えてきているが、どんな用途で使うかを考慮する必要がある。金額と精度はある程度は正比例にあり、高額なものほど高精度。どの程度の精度を求めるかによって、使うシステムを選択することが重要となる。

 UAVレーザーの構成は、上部にアンテナ、下部にレーザーとIMU、メインボックスを装備している。メインボックスがPCの役割を担い、データを格納する他、IMUの処理も行っている。

 快適空間FCがこれまでに手掛けた計測事例の紹介では、ダム建設前の地形測量が示された。

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