今冬の最大需要は3.6〜8.7%減少、政府が想定した「定着節電」よりも拡大:電力供給サービス
電力の需給状況を検証する政府の委員会が今年初めて開かれた。委員会で配布された資料によると、北海道から九州まで9電力会社の今冬の最大需要は震災前の2010年度と比べて軒並み減少した。減少率では関西の8.7%が最大で、中部の3.6%が最小だった。
自民党政権に代わってから初めて電力需給に関する政府の委員会が開催された。名称を「電力需給検証小委員会」に変更して、メンバーも大幅に入れ替わった。3月22日の第1回会合では、今冬の電力需給状況の検証と次の夏に向けた検討項目が話し合われた。
今冬の9電力会社の電力需給状況を見ると、各地域ともに余裕のあったことが改めて明らかになった(図1)。最大需要に対する供給力の予備率は、中部電力の2月18日(月)が最も低くて5.4%だった。一方で西日本の各地域は軒並み予備率が高い状態で、中国電力では最大需要を記録した12月25日(火)でさえ16.7%もあったほどだ。
予備率は3%を下回ると電力不足の危険性が高まる。今冬は九州が最も厳しくて12月〜2月まで3%台になると予想されていた。北海道でも2月に5%台まで下がる予測だったが、実際には1月18日(金)の9.9%が最も低く、需給状況は極めて安定していたと言える。
これほど電力の需給状況に余裕が生まれた最大の要因は、電力会社や政府の予測を上回って節電効果が発揮されたことにある。節電効果を測るうえで比較対象になるのが震災前の2010年度である。2年前の冬と比べると、各地域とも最大需要は着実に減っている(図2)。
最も大幅に需要が減少したのは関西の8.7%で、最小は中部の3.6%だ。中部は2年前と比べて気温が3.4度も高かったにもかかわらず、最大需要が他の地域ほど減らなかった。そのために予備率が5.4%まで低下したわけだ。中部ではまだ節電の余地が大きく残っていると言えるだろう。
いずれの地域の減少率を見ても、昨年の委員会が「定着した節電」として想定した数値よりも大きい。気温の影響があるとはいえ、委員会の想定が保守的だったことは明らかで、結果として電力会社の供給力が過剰になってしまった。
「定着節電」による需要の減少幅は年々大きくなっていく。新設の委員会は4月中旬に夏の需給見通しをまとめる予定だ。前年度の実績をもとに現実的な数値を出すように望みたい。
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