下水の汚泥からバイオマス燃料、火力発電所で石炭と混焼:自然エネルギー
石炭を燃料に使う火力発電所で「バイオマス混焼発電」が広がってきた。電力会社が再生可能エネルギーを利用する効果的な方法のひとつで、J-POWERと九州電力が長崎県の火力発電所で4月から開始する計画だ。利用するバイオマス燃料は熊本市の下水の汚泥から製造する。
熊本市の「南部浄化センター」で4月1日から、下水の汚泥を燃料化する施設の運営が始まった(図1)。下水の汚泥を燃料にリサイクルする事業は九州では初の試みになる。電源開発(J-POWER)と九州電力が長崎県の松浦市にある火力発電所の燃料として利用する。
バイオマス燃料を石炭に混ぜて発電用に使う「バイオマス混焼発電」の取り組みは全国の火力発電所で始まっている。下水の汚泥のほかにも、木質バイオマスを使った事例がある。
石炭による火力発電は燃料費が安い半面、CO2の排出量が多いという問題があり、バイオマス混焼発電が解決策のひとつとして注目を集めている。
熊本市のプロジェクトでは、1日あたり50トンにのぼる脱水した汚泥から固形の炭化燃料を製造する(図2)。従来よりも低い温度で炭化する「低温炭化方式」を採用して、燃焼時の発熱量を大きくできる点が特徴である。混焼用の燃料としてエネルギー効率が高くなる。年間の製造量は2300トンを見込んでいる。
このバイオマス燃料はJ-POWERと九州電力が20年間にわたって買い取ることを決めている。電源開発の「松浦火力発電所」(出力200万kW)と九州電力の「松浦発電所」(70万kW)で海外から輸入した石炭に混ぜて利用する予定だ。下水処理場と火力発電所を合わせると、年間に削減できるCO2の排出量は一般家庭の約1300世帯分に相当する。
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