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川の流れをショートカット、北陸電力が4000kWの水力発電所を新設:自然エネルギー
大規模なダムを伴う水力発電所の開発は難しい。居住地が失われることはもちろん、立地に限りがあり、大規模な工事も必要だ。一方、「水路式」と呼ばれる水力発電所にはこのような問題が少ない。ダムを作らないからだ。
北陸電力は、2013年5月、富山県で水路式水力発電所の建設を月内に開始すると発表した。2016年5月の完成を予定する。水路式とは河川の流れを遮るようなダムを設けない水力発電所だ。水路式を新設するのは同社として26年ぶり*1)であるという。「約2年間の環境土木調査の結果、適地が見つかったため着手する」(北陸電力)。
*1) 1983年に水路式の片貝南又発電所(5000kW)を開発している。その後、4件の水路式を再開発し、3件のダム式と1件のダム水路式も手掛けている。1983年以降の水力発電の増設量は6万5890kW。
建設するのは出力4400kWの片貝別又発電所(富山県魚津市、図1)。出力規模から分類すると「中水力」に相当する。年間発電量として1740万kWhを予定。
同発電所は図1中の拡大図にあるように片貝川上流の支流の流れをショートカットして水力発電に利用する。完成予定図は図2の通りだ。小山の向こう側を流れる上流に小規模な取水せきを設け、導水トンネルを通じて小山の手前側に導く。その後、水槽に水をため、高低差300mの水圧管路に水を流し、発電する。最大毎秒1.8m3の水を流す予定である。水路式の特徴であるたとえ水量が少なくても高低差を稼ぎやすいという性質をうまく利用した発電所だ。
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