台風と地震、どちらのエネルギーが大きい?:ウイークエンドQuiz(2/2 ページ)
夏休み最後の週末だ。今回は自然現象のエネルギーを比較してみよう。自然に恵まれた日本は、残念ながら自然災害も多い。これからしばらくは台風のシーズンだ。そこで、最大規模の雨を降らせた台風と、今後予想される最大規模の地震(東海・東南海・南海地震)のエネルギーを比較しよう。どちらのエネルギーが大きいのだろうか。
正解:
a.台風
ミニ解説
国土交通省中部地方整備局が設置した「中部地方の天変地異を考える会」は、「スーパー伊勢湾台風」「東海・東南海・南海地震」「富士山の噴火」など巨大災害に関する被害評価や検証結果を2006年に発表している。
同会は第6回検討会で、「天変地異のエネルギー(試算値)」という資料を公開、エネルギーの概数値を示した。
台風のエネルギーを計算する前提となったのは、1976年9月に発生した台風17号だ。台風17号の特徴は日本の上空で停滞したこと。このため、降水量が最も多い台風として知られている。資料では降水量を837億トンとしている。これは前回のクイズで登場した日本最大の発電用ダム、奥只見ダムを140回、空の状態から満水にできる水量だ。
これだけの量を雨として降らせるためのエネルギーは1.8×1020J(ジュール)だという。1Jは1Ws(ワット秒)に等しい。従って、台風17号のエネルギーは2012年の日本の総発電量9408億kWhの53倍にも達することになる。
地震と富士山はどちらが大きい?
資料で試算した地震のエネルギーはどうだろうか。今後、静岡県の駿河湾から四国沖まで太平洋上で3つの地震が連動して起こる可能性が指摘されている「東海・東南海・南海地震」が、例に挙がっている。計算によれば、マグニチュード8.7の地震が発生すると、エネルギーは7.1×1017Jだという。最大級の地震ではあるものの、先ほどの台風と比較すると約250分の1のエネルギーだ。マグニチュードの値を2011年時点の予測値である9.1で計算し直しても、台風のエネルギーの方が大きい。なおマグニチュードの値が1つ大きくなるとエネルギーは約32倍になる。
資料によれば、富士山の噴火によって放出されるエネルギーは意外に大きい。歴史上最大の噴火だった1707年の宝永大噴火では約12億トンの噴出物があったことから、熱エネルギーを1.2×1018Jと試算、これはさきほどの地震の2倍弱に相当する。
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