国内最大級のリチウム蓄電池、コンテナ型で容量2.8MWh:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
大型コンテナに収納した大容量大出力のリチウムイオン蓄電池システム。輸送と設置が容易であり、顧客のニーズに応えやすい。IHIは2014年度から国内市場に向けてコンテナ型の販売を開始する。これに先駆け、2014年1月には同社の相馬事業所にコンテナ型システムを設置。工場のピーク電力抑制に利用する。
ラミネートシート状のセルを採用
コンテナ型リチウムイオン蓄電システムは多数のセル(単位電池)を組み合わせて、巨大な容量や出力を実現している。「コンテナ内にラミネートシート状のリチウムイオン蓄電池セルを約5万枚収めた。セルの出力電流は20Aである」(IHI)。
図3に同社のリチウムイオン蓄電池セルの一例を掲載した。IHIのセルはオリビン型の結晶構造を持つリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を正極材料として用いている。同材料の性質は安定性が高いこと。充放電による結晶構造の劣化が起きにくいため、寿命が長くなる。比較的高温環境下での利用や、長期間の利用に向いている。
IHIは2009年に米A123 Systemsと事業提携を結んでおり、リチウムイオン蓄電池システムの事業化を進めてきた。A123 Systemsはリチウムイオン蓄電池のセルやシステムを開発・製造する企業。
IHIは事業提携後、2011年には東京消防庁向けに非常電源を納入(関連記事)。熱安定性が高いことなどが評価されたという。2012年には東京都羽村市で運行する電池駆動のコミュティバス「はむらん」(定員31人)の電源として採用された。はむらんは電池駆動の路線バスが実用運行した事例として日本初。
以上の事例では数十cmサイズのリチウムイオン蓄電池モジュールを利用した。今回は初めてコンテナ型を採用した事例である。コンテナ型システム自体は既にA123 Systemsが米国やチリ、ブラジルなどに十数システムを納入しており、相馬事業所向けのコンテナもA123 Systemsのものを用いた。
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