スマートなデータセンターに、水冷式の空調で消費電力が30%減る:省エネ機器
大規模なデータセンターの内部には、稼働中に熱を発するコンピュータや通信機器が数多く設置されている。そのため空調に使われる電力は極めて大きい。特に冷房能力の高い水冷式の空調システムでは、熱源と送水機能を最適に制御すると消費電力を最大30%も削減できる。
インターネットの普及に伴って全世界でデータセンターの規模が急速に拡大している。そこで大きな問題になるのは電力の使用量も大幅に増えてしまうことだ。コンピュータや通信機器は稼働中に熱を発して、温度が高くなると故障の原因になる。このためデータセンターでは空調システムが極めて重要になる一方、いかに電力の使用量を抑えるかが課題になっている。
NTTファシリティーズは大規模なデータセンターで使われている水冷式の空調を対象に、主要な機器の運転状態を自動的に制御するシステムを開発した。空調機に加えて、水を冷やすためのチラー、水を循環させるためのポンプ、の3種類の機器の運転状態をコントローラで制御する(図1)。
通常の水冷式空調システムでは各機器が独立に運転する仕組みになっていて、データセンターの稼働状況に関係なく一定の運転モードで動き続ける。NTTファシリティーズが開発したコントローラはチラー・ポンプ・空調機の運転状態をビルオートメーションシステムの標準通信プロトコル(BACnet)を使って収集して、最適な運転モードに変更することができる。
さらに空調機の自動制御システムと組み合わせれば、データセンターの室内に設置した温度センサーや湿度センサーからの情報をもとに、送風量などを自動的に調整することも可能になる(図2)。コントローラやセンサーを設置するだけで済むため、新築・既築いずれのデータセンターにも導入できる。
NTTファシリティーズの評価によると、従来の水冷式空調システムと比べて消費電力を最大で30%削減できる見込みだ(図3)。消費電力のうち6割をチラーとポンプ、4割を空調機が占めていて、双方それぞれで30%の削減効果を期待できる。
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