京都のチンチン電車を改造、電池は電気自動車よりも多い?少ない?:蓄電・発電機器
京都市は市立公園内で明治期のチンチン電車(路面電車)を動態保存してきた。公園の再整備に従って、チンチン電車を電池式に改造、非常用電源としても利用できるという。
京都市は2014年3月、再整備中の梅小路公園(京都市下京区、13万7000m2)の一部を開園した。目玉は「すざくゆめ広場」(約5700m2)。明治時代後期に作られた京都電気鉄道のチンチン電車(路面電車)が走る様を見ることができる。さらに短い区間ながらも線路上を走行するチンチン電車に乗車できる(図1、図2)。片道乗車券は150円だ。
チンチン電車は引き延ばした「Z」のような形の区間を走る。図3にある総合案内所と京都水族館の間だ。なお、図3の左と下に灰色で写っている線路は、山陰本線と一部、東海道本線。
再整備前の梅小路公園で動態保存されていたチンチン電車「N27」が、今回蓄電池で走行するようになった経緯は、関連記事で紹介した通りだ。関連記事を執筆した時点では、車両の改造を担当した東京アールアンドデーの開発課題はある程度分かっていた。
蓄電池については、GSユアサが京都市に寄付を予定する製品を利用することは決まっていたものの、内容は不明だった。今回、再整備された公園で運行を再開したことをきっかけに、リチウムイオン蓄電池の詳細をGSユアサが公表した。産業用途向けに開発された蓄電池を用いており、車両には災害時に蓄電池を非常用電源としても活用できるシステムも搭載している。
日産「リーフ」よりも電池容量が大きい
N27に組み込んだリチウムイオン蓄電池システムの容量は33.7kWh。これは日産自動車「リーフ」(24kWh)の約1.4倍に相当する。
電池として機能する最小単位(セル)を8つ組み合わせたモジュール「LIM50E-8G2-C1」(図4)を、さらに12個直列に接続して電圧を355.2Vまで高めた。これを2つ並列に接続している。従って、システムが含むセルの数は192である。
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ガソリン車を電気自動車化
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