再生可能エネルギーの拡大に1500億円、経済産業省が概算要求で:自然エネルギー
経済産業省は2015年度の概算要求の中で、先進的な発電技術や国内の資源開発を促進する予算として3000億円以上を盛り込んだ。そのうち1500億円以上を再生可能エネルギーの拡大に割り当てる。前年度から継続する洋上風力や地熱資源の開発に加えて太陽光発電のコスト低減にも取り組む。
約1兆円にのぼるエネルギー関連の概算要求のうち、生産段階を促進するための予算は3395億円を占めている(図1)。2014年度予算の2890億円から500億円以上の増額になる。中でも再生可能エネルギーの拡大と資源の安定確保に向けた予算額が際立って大きい。
再生可能エネルギーの分野には総額で1586億円を振り向ける。最も金額が大きいのは「再生可能エネルギー固定価格買取制度施行事業費補助金」の456億円である。製造業など電力を大量に使用する需要家が買取制度に伴う賦課金の減免を受ける費用になる。前年度の290億円から6割近く増額する。
発電技術では洋上風力のプロジェクトが2種類ある。浮体式と着床式の技術開発と実証を促進する「洋上風力発電等技術開発」には前年度の49億円を大幅に上回る79億円を割り当てる。加えて長距離の送電ロスを防ぐ「次世代洋上直流送電システム開発事業」を開始するために10億円を要求した。
地熱資源の開発予算も増額する。「地熱資源開発調査事業」を65億円から90億円へ増やす一方、前年度に続いて「地熱発電技術研究開発事業」に29億円、「地熱開発理解促進関連事業支援補助金」も28億円を確保する方針だ。このほかに地中熱や太陽熱、雪氷熱などの利用を促進する補助金を40億円から80億円へ倍増させる(図2)。
太陽光発電でも新しい取り組みが始まる。「高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発」を51億円の予算で開始する予定だ。従来のシリコン系やCIS系の太陽電池の効率を高める技術開発に加えて、新しい構造の太陽電池を実現する要素技術の開発に着手する。政府は2030年までに太陽光発電のコストを基幹電源並みの1kWhあたり7円に引き下げることを目標に掲げている(図3)。
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