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動き始めた地熱発電、全国14か所で大規模な開発計画自然エネルギー

国内に豊富な資源がありながら開発が進んでいなかった地熱発電に動きが出てきた。政府が規制緩和に乗り出す一方、固定価格買取制度によって事業性が明確になったことが大きい。資源エネルギー庁によると、出力3万kW以上の大規模な開発案件が全国14か所で進行中だ。

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 資源エネルギー庁がまとめた「エネルギー白書2013」の中で、今後の導入拡大が期待できる再生可能エネルギーとして地熱発電にスポットを当てている。注目すべきは地熱発電開発の流れに沿って、現在進行中の14件にのぼる大規模な開発案件をリストアップした(図1)。

 地熱発電は「地表調査・掘削調査」から始めて「発電設備設置」まで、5つのプロセスで開発を進める必要がある。このうち第3段階の「環境アセスメント」まで進んでいるのが秋田県湯沢市の「山葵沢(わさびざわ)」のプロジェクトで、今後5年程度で発電を開始できる状況にあることがわかる。


図1 地熱発電開発の流れと進行中の主な案件(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 このほか岩手県八幡平市の「安比(あっぴ)」の開発計画が第2段階の「探査」の状態まで進んでいる。山葵沢と安比の開発地域は地熱発電の規制対象になる国立・国定公園に含まれていないため、早くから開発に着手することができた。

 さらに8件のプロジェクトが第1段階にあり、うち2件は国立・国定公園の中で進んでいる。環境省は2012年3月に地熱発電の規制対象を緩和して、国立・国定公園の中でも風致維持の必要性が相対的に低い「第2種特別地域」と「第3種特別地域」に関しては条件付きで開発を認める方針を打ち出した。これを受けて地熱が豊富な地域で事業化の検討が進み始めた。

 地熱発電は他の再生可能エネルギーと比べて設備利用率(出力に対する発電量)が約70%と高く、風力の約20%、太陽光の約12%と比べて、安定した電力供給源になる。2012年7月に始まった固定価格買取制度で出力1.5万kW以上の場合に26円/kWhの買取価格が設定されたことにより、高い設備利用率と合わせて収益を確保しやすくなった。

 日本は地熱の資源量が大きいにもかかわらず、実際に稼働している発電設備は他国と比べて少なく、全体の容量(出力)を合計しても52万kW程度にとどまっている(図2)。進行中の14件が最低3万kWの出力であれば、すべてが稼働すると42万kW以上になり、これだけで地熱発電の規模は現在の2倍になる。


図2 世界の主要国における地熱資源量と発電設備容量。出典:資源エネルギー庁

 政府は国立・国定公園の規制緩和に続いて、現状で3〜4年かかっている環境影響評価の期間を半分に短縮する方針を打ち出すなど、地熱発電を促進する施策を拡大している。発電量の大きい地熱の開発は将来のエネルギー政策において重要な課題であり、国・自治体・民間事業者の連携による長期的な取り組みが欠かせない。

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