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レトロ調の地下鉄に最新の駆動装置、6両編成で92世帯分の節電効果:省エネ機器
1927年に日本で初めて開通した地下鉄・銀座線の車両が省エネ性能を高めている。2012年から投入した「1000系」に世界初の駆動装置を搭載して2014年度末までに営業運転を開始する。現在も運行中の旧型の車両と比べて電力消費量を37%削減できる見込みだ。
東京の都心部を朝夕には2分間隔で運行する銀座線は日本で初めての地下鉄で、黄色い車両が特徴だ。2012年にはレトロ調の「1000系」が登場して大きな話題を集めた(図1)。この1000系に最新の駆動装置を搭載して、電力消費量を削減する取り組みが進んでいる。
鉄道の車両で最も多く電力を消費する部分は駆動装置である。現在の1000系には「永久磁石同期電動機(PMSM : Permanent Magnet Synchronous Motor)」と呼ぶ高効率のモーターを搭載している。これにより1997年まで製造していた旧型の「01系」の車両と比べて、電力消費量は約30%も少なくなった(図2)。
さらに2014年度内に営業運転を開始する新型車両(1000系の3次車)には、速度を制御するためのインバータに電力損失の少ないSiC(炭化ケイ素)で製造した半導体を使う(図3)。SiC半導体を搭載した「VVVF(Variable Voltage Variable Frequency:可変電圧可変周波数)インバータ」とPMSMを組み合わせた鉄道の車両は世界で初めてである。
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