太陽光と風力で港街の街路を照らす、災害時の電力供給も可能に:スマートシティ
神奈川県横浜市の湾岸地域であるみなとみらい21地区に、太陽光と風力発電でLED照明を点灯させる「ハイブリッド街路灯」の設置がスタートする。災害時には内蔵の蓄電池から電力を供給することも可能だ。
横浜市はこのほどみなとみらい21地区への「ハイブリッド街路灯」の設置について、発電機器メーカーのWINPRO ENERGYと覚書を締結した。ハイブリッド街路灯とは、風力や太陽光などの再生可能エネルギーを利用してLED照明を点灯させる街路灯だ(図1)。
高さは約7メートルの街路灯で、LED照明、出力145W(ワット)の垂直軸型の風力発電設備、同55Wの太陽光発電設備、蓄電池が一体となっているのが特徴だ。WINPRO ENERGYが開発・販売を手掛けている。
通常、街路灯を設置する場合は外部電源に接続しなくてはならないが、再生可能エネルギーを利用するハイブリッド街路灯であれば、電気配線が無い場所にも設置できる。AC100V(ボルト)の電源口も備えており、災害などの緊急時には蓄電池から電力を供給できる機能も備えている。
今回、ハイブリッド街路灯を設置するのはみなとみらい21地区の53街区。横浜市が横浜駅からみなとみらいへのアクセス向上を目的に、2015年度から整備を行う歩行者用通路に10基設置する予定だ(図2)。設置時期は2016年1月を予定しており、街路灯の設置はWINPRO ENERGYが行う。設置費用の一部は民間企業からの寄付を募る。
53街区を含むみなとみらい線新高島駅周辺は、グローバル企業が集積しており、みなとみらい線と東京メトロ副都心線などとの相互直通運転など、横浜市がさらなる活性化や企業誘致に注力している地域だ。
横浜市は政府から環境問題や超高齢化への先進的な取り組みを進める「環境未来都市に指定」されている。今回のハイブリッド街路灯の設置も環境未来都市としての取り組みの一環だ。この他にも同市は2015年4月1月に「横浜スマートビジネス協議会」を設立し、スマートシティの実現に向けたエネルギーの地産地消を図るプロジェクトの検討などを進めている。
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