JR福島駅に500kWhの蓄電池を導入、再生エネの活用で駅を防災拠点に:スマートシティ
JR東日本は再生可能エネルギーと省エネ技術を駅に導入する「エコステ」プロジェクトを推進している。そのモデル駅の1つとして太陽光発電などによる電力供給システムを設置したJR福島駅に、新たに約500kWhの蓄電池が導入された。災害などによる停電時でも最大約12時間の電力供給が可能になり、駅を防災拠点として活用できるようになった。
GSユアサはJR東日本が推進する「エコステ」のモデル駅として運用を開始しているJR福島駅に、このほど約500kWh(キロワット時)のリチウムイオン電池と、太陽光発電用の防災対応型パワーコンディショナー2セットを納入した。
JR東日本は駅に省エネルギー・再生可能エネルギーなどの環境技術を導入する取り組みである「エコステ」を推進している。「省エネ」「創エネ」「エコ実感」「環境調和」を4つの柱として掲げており、それぞれのエコメニューをモデル駅に導入している。その1つであるJR福島駅には、三菱電機が電力供給システムを納入。それにより、駅で消費する電力の23%を太陽光などの自家発電でまかなうことが可能になっていた(図1)。
今回さらにGSユアサがリチウムイオン電池を導入したことにより、災害などによる停電時でも最大約12時間の電力供給が可能となり、JR福島駅を防災拠点として活用できるようになった。
GSユアサが納入したリチウムイオン蓄電システム(図2)には、スマートグリッドや電力貯蔵などをターゲットとして商品化したリチウムイオン電池モジュール「LIM50E−12G」を採用している。複数のモジュールを組み合わせることにより、電圧や蓄電池容量をカスタマイズすることができ、大規模な蓄電システムの構築が可能だという。
1バンク(複数のリチウムイオン電池モジュールを直列に接続した1つの群)ごとの独立制御が可能で、システムを停止せずにメンテナンスが行える。また標準装備の電池管理装置により、リチウムイオン電池の全セル電圧、全モジュール温度および全ユニットの電流を常時監視するとともに、パワーコンディショナーや監視・制御システムへの出力が可能だ。
なお、リチウムイオン電池付防災対応型パワーコンディショナーは、福島駅に設置されている太陽光発電パネルの種類に合わせて2機種を納入した。ユアサグループはパワーコンディショナーやリチウムイオン電池の普及により、今後も防災拠点の拡大および環境負荷の低減に貢献していく方針だ。
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