福島駅を災害に備えて「エコステ」に、太陽光+地中熱+蓄電池を導入:スマートシティ
JR東日本は電力を自給自足できる「エコステ」のモデル駅として福島駅をリニューアルする。駅構内の空き地に加えて施設の屋根や窓にも特性の違う3種類の太陽光パネルを設置する計画だ。災害時の帰宅困難者を受け入れられるように、地中熱による空調システムや蓄電池も導入する。
福島駅の「エコステ整備計画」では、合計8種類のエネルギー関連機器を組み合わせて利用する予定だ(図1)。構内の3カ所にタイプの違う太陽光パネルを設置して自家発電を可能にするほか、地中熱を利用したヒートポンプによる空調を新幹線の待合室に取り入れる。さらに2カ所に蓄電池を導入することで、停電時でも電力を供給できるようにする。
このほかにもLED照明、電気自動車用の充電器、発電量などの表示盤を設置して、電力を効率よく使いながら自給自足する「エコステ」のモデル駅として整備する方針だ。太陽光で発電した電力は全量を駅構内の電気機器で消費する。
太陽光パネルは空き地に設置する従来型の製品に加えて、新幹線のホーム上屋に設置する軽量型、乗換用の跨線橋(こせんきょう)の南側の窓に設置する有機薄膜の3種類を使い分ける。薄膜タイプの太陽光パネルは窓に装着しても光を通すことができる利点を生かす。
JR東日本は10月から福島駅のリニューアル工事に着手して、2015年3月に完成させる(図2)。福島県では2015年4月〜6月に大規模な観光促進プログラム「ふくしまデスティネーションキャンペーン」が予定されているため、キャンペーンの開始に間に合わせる考えだ。
福島駅をリニューアルする最大の目的は、東日本大震災のような災害時に備えて、帰宅困難者を駅で受け入れる体制を強化することにある。JR東日本は2014年8月に地元の福島市と協定を結び、福島駅の構内を一時滞在場所として提供することを決めた。そのためにエコステのコンセプトを取り入れて電力を自給自足できるようにする。東北地方では岩手県の平泉駅に続いて2番目のエコステになる。
関連記事
- 電力を自給自足できる駅が完成、大規模な蓄電池システムを導入
JR東日本が東北本線・平泉駅に - 太陽光+風力+LED、JR海浜幕張駅が電力を自給自足へ
駅の外壁などに太陽光パネルや風力発電機を設置 - 鉄道沿線の細長い土地にメガソーラー、JR東日本が秋田県の2カ所に建設
北東北3県を「再生可能エネルギー基地」に - JR東日本が風力発電へ、東北の北部を「再エネ基地」に
秋田県に所有する「鉄道林」の中で事業化調査を開始 - 鉄道の運行にもメガソーラー、JR東日本が自社利用を目的に建設
車両センターの未利用地に1MWの発電設備を導入
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.