東京ガスの「ずっとも電気」、3種類のプランで東京電力に挑む:電気料金の新プラン検証シリーズ(1)(2/2 ページ)
電力の小売全面自由化に向けて最も意欲的な会社の1つが東京ガスだ。小売電気事業者の先頭を切って料金プランを公表した。毎月の電力使用量が多い家庭や商店を対象に、東京電力よりも安い単価を設定した点が特徴だ。都市ガスのほかにインターネットサービスを加えた「トリプル割」も実施する。
ポイントサービスの大手4社とも提携
「ずっとも電気」の供給エリアは関東の1都6県と山梨県を加えた地域で、東京電力のサービスエリアと合致する(図4)。東京電力の管内に入る静岡県の東部(富士川よりも東側)も含まれる見通しだ。
東京ガスは電力と都市ガス、さらにインターネットサービスを合わせて契約した顧客に割引プログラムを実施する。電力と都市ガスの場合は「ガス・電気セット割」を適用して、電力の基本料金から月額270円(税込み)を割り引く。
電力の使用量が標準(年間3600kWh)よりも多い年間4700kWh(契約電力40A、ずっとも電気1)の家庭では、ガス・電気セット割を選ぶと東京電力の現在の電気料金と比べて年間に4000〜5000円ほど割安になる。年間4700kWhの使用量は東京都内の戸建て住宅で3人家族の平均値だ。
注目すべきはインターネットプロバイダー7社と提携して実施する「東京ガストリプル割」である(図5)。NTTグループの「OCN」と「ぷらら」をはじめ、NECグループの「BIGLOBE」や旧ソニーグループの「So-net」などが割引の対象に入った。トリプル割を適用すると、インターネットサービスが年間に最大で1万2000円も安くなり、電力とガスを加えて全体の料金の削減額は1万6000〜1万7000円に拡大する。ただし割引額はプロバイダーによって差がある。
東京ガスは電力の販売に合わせて独自のポイントプログラム「パッチョポイント」も4月1日から開始する。電力の購入契約を結んだ時のほか、各種のサービス利用時やキャンペーンに参加した時にポイントがたまる。しかも国内の共通ポイントプログラムで主要な「Ponta」「楽天スーパーポイント」「Tポイント」の3種類いずれともポイントの交換が可能だ(図6)。イオングループの「WAONポイント」とも交換できる。
同様のポイントプログラムは東京電力も2016年1月から開始する予定だ。独自のポイントプログラムではなくて、「Ponta」か「Tポイント」のどちらかを選択してポイントを貯めることができる。電力やガスの領域でも料金の安さに加えてポイントプログラムの充実が顧客の獲得・維持に影響を与える時代になってきた。
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