電気を使うとポイントがたまる、東京電力が2016年1月に新サービス開始:電力供給サービス
東京電力は全国に7000万人の会員を抱えるポイントサービス「Ponta」と提携することを決めた。2016年1月にサービスを開始する。電気を使うとポイントがたまるプログラムを提供して小売全面自由化でも競争力を発揮する狙いだ。インターネットを使った情報提供ではリクルートと連携する。
東京電力が小売事業でも提携戦略に動き出した。家庭向けの顧客サービスの強化に向けて、ポイントサービスの「Ponta(ポンタ)」を運営するロイヤリティ マーケティング、生活情報サービスを提供するリクルートホールディングスを加えた3社間で、業務提携の基本合意書を5月8日に締結した(図1)。
提携を通じて東京電力はインターネットを使った会員制サービスの「でんき家計簿」を刷新する。現在のでんき家計簿は270万人の会員を対象に毎月の電気料金の情報や節電アドバイスなどを提供しているが、2016年1月から「暮らしのプラットフォーム(仮称)」に衣替えして内容を大幅に強化する予定だ。その中で目玉のサービスになるのがポイントプログラムである。
「Ponta」は三菱商事グループが2009年に開始した共通ポイントサービスで、2015年4月末の時点で会員数は6951万人、加盟店舗数は2万3000店に達している(図2)。楽天が運営する「楽天スーパーポイント」(会員数8000万人)、カルチュア・コンビニエンス・クラブの「Tポイント」(同5000万人)と並ぶ事業基盤を誇る。
東京電力は小売全面自由化に向けて新電力が契約変更の手続きを開始できる2016年1月をめどに、Pontaと連携したポイントサービスを開始する。東京電力と契約を続ける利用者にはサービスの利用状況に応じてポイントを提供して、Pontaの加盟店で利用できるようにする方針だ(図3)。
Pontaの加盟店にはコンビニエンスストアのローソンをはじめ、電話のNTT東日本/西日本、旅行では日本航空やエイチ・アイ・エスが参加している。さらにリクルートも東京電力と同じ時期に、自社で運営してきた「リクルートポイント」をPontaへ移行する計画だ。リクルートがインターネットで提供する旅行情報サービスの「じゃらんnet」や飲食情報サービスの「ホットペッパー グルメ」などが対象になる。
東京電力は家庭向けの競争力を高めるために「暮らしのプラットフォーム」を展開して、2016年度末に会員数を1000万人に増やすことを目指している。サービスメニューには生活情報のほかに住宅関連サービスなどを加える方針で、今後さらに提携企業を拡大していく見通しだ(図4)。
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