米国の全発電量の60%を支えるソフトウェア、IoTで日本の電力網を安定化:エネルギー管理
再生可能エネルギーの最適な需給調整などをはじめ、エネルギー分野での活用に注目が集まるIoT技術。伊藤忠テクノソリューションズは米国の総発電量の約60%に利用されているというOSIsoft社の「PI System」を日本国内で販売開始した。
伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)は2015年1月22日、米国のソフトウェア企業であるOSIsoft社(カリフォルニア州サンレアンドロ)と販売代理店契約を締結し、設備や機器に取り付けたセンサーからリアルタイムでデータを収集・保存し、管理・分析を行うオンプレミス型ソフトウェア「PI System(パイ・システム)」の提供を同日より開始すると発表した。
PI Systemは発電所内の電力計や監視制御システム、その他の設備・機器などに取り付けたセンサーごとに、過去から現在、未来の予想値を加えた時系列データを収集・蓄積して可視化することができるソフトウェアだ。
大容量かつ高速データ処理向けの独自の時系列データベースが特徴で、さまざまなデータソースから収集した生データをリアルタイム処理できる。設備・機器と接続できるインタフェースは標準で450種類以上そろえた。米国では、国内における全発電量475GW(ギガワット)のうち、約60%のモニタリングにPI Systemが利用されているという。
日本国内では再生可能エネルギーの導入が進んできた。しかし気象条件によって出力が大きく変動するという特性上、電力の需要と供給量を常に一致させる同時同量の原則を維持するための需給調整技術が求められている。さらに安定的に発電を行うためにも、発電所などの設備トラブルを未然に防ぐ予防保全も重要だ。こうした課題をやニーズに応えるものとして、さまざまなモノに取り付けたセンサーから集めた情報を活用していくIoT(Internet of Things)技術に注目が集まっている。
CTCは2011年から、PI Systemを使用して、風力や太陽光発電、系統電力を含めたエネルギーの利用を総合的に管理するIoT(Internet of Things、モノのインターネット)クラウドプラットフォーム「E-PLSM(エプリズム)」を提供してきた(図1)。今回の販売代理店契約の締結により、これまでに蓄積したノウハウを活用して、PI Systemの導入から運用までをトータルに支援していく。
同社では2016年4月から始まる電力小売の全面自由化に伴い、電力会社、ガス会社、製造業などを中心に提案を進め、E-PLSMと合わせて3年間で10億円の売上高を目指す計画だ。
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