太陽光発電所を「ヤフオク」に出品、価格1億6100万円も「十分販路として成り立つ」:太陽光
ウエストホールディングス子会社で太陽光発電の企画・施工を行うウエストエネルギーソリューションは、ヤフーが運営するインターネットオークション「ヤフオク!」に太陽光発電所を出品することを発表した。太陽光発電設備そのものがインターネットオークションにかけられるのは国内初だという。
2012年7月に始まった「固定価格買取制度(FIT)」だが、太陽光の買取価格は、普及が拡大していることから減少傾向にある。
買取価格は電力の供給を開始した時点ではなく、国から設備認定を受けた時点、あるいは電力会社などに接続を申し込んだ時点、のいずれか遅い方の時期の買取価格が採用され、20年間固定される制度となっている。例えば、設備認定と接続申し込みを2012年度のうちに完了すれば、運転開始が2013年度や2014年度に入ってからでも、買取価格は2012年度のものを適用することができるというものだ。
2012年の開始当初は「1kWh(キロワット時)当たり40円(税別)」だったが、徐々に減少が進み2015年7月1日以降の買取価格は「1kWh当たり27円(同)」。2016年度も引き下げられることが確実視されており「1kWh当たり25円(同)」になるといわれている(関連記事)。
これらの状況に加え、太陽光発電設備を建設し売電するためには、国からの設備認定や電力系統接続の手続き、資金調達や建設工事など膨大な負担が発生する。そのため「有利な売電価格を持つ設備認定済みの既存太陽光発電所設備を購入したいというニーズは高まっている」(ウエストエネルギーソリューション)。今回、ウエストエネルギーソリューションが、ヤフーが運営するインターネットオークション「ヤフオク!」に出展した狙いは、こうした購入ニーズに幅広く応えるためだという。
500kW相当の新規設備で2014年度の買取価格を採用
ウエストエネルギーソリューションが出品した太陽光発電設備は、広島県三原市に保有する500kW(キロワット)相当の地上設置型施設で、2014年度に「設備認定」を受けたもの。2016年11月から連系を行うとしている。買取価格は「1kWh当たり32円(税別)」で、開始価格は1億6100万円(税別)だとしている(図1)。
ヤフーが運営するインターネットオークション「ヤフオク!」内の参加者限定型オークション「メンバーズオークション」において2016年2月12〜19日までの8日間の日程で入札者を募る。メンバーズオークションとは、開催者(出点者)が参加者(入札者)を指定し、参加者限定で開催できるオークションの仕組みである。実際に事業意欲がある参加者を限定して参加させることができる。
ウエストホールディングスの荒木健二氏は「決して話題作りとして考えているのではなく、新しい販路として活用していくことを考えている。太陽光発電設備は建設や手続きなどが複雑でその負担を感じている人は多い。その負担を軽減し販売の間口を広くしていくことを狙いとしている。既に多くの反応を得ており十分に新しい販路として機能すると考えている」と述べ、同案件の入札終了後に新たな出品なども今後検討するとしている。
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