ため池密度日本一の香川県に、日本最大級の水上太陽光発電所建設へ:太陽光
香川県はため池の数が日本で3番目、面積当たりのため池数では日本一の県である。そんなため池を有効活用する、日本最大級の水上式メガソーラーの建設が決定した。
太陽光発電設備の施工や運営などを行うウエストホールディングスの子会社であるウエストエネルギーソリューションは、高松市香川町川内原にある約25万平方メートルのため池「新池」の一部を借り受け、日本最大級の水上式メガソーラーを建設することを発表した。
香川県のため池の数は1万4619カ所となり、兵庫県と広島県に次いで全国3位の数である。さらに県の総面積に対するため池の密度では全国一となっており、非常に多くのため池を抱えることで有名な県である。ため池の貯水の多くは農業用水として活用されているが、その水を新たに“発電”にも活用しようというのが今回の取り組みである(図1)。
ウエストエネルギーソリューションが新たに水上メガソーラーを建設する新池は1660〜70年頃に建設された歴史あるため池で、毎年ため池を築造した矢延平六に感謝する「ひょうげ祭り」なども行われている。ウエストエネルギーソリューションではこの池の一部に太陽パネル約1万枚を浮かべ、水上で太陽光発電を行う。保守管理はウエストO&Mが行う予定(図2、図3)。
出力は約2.7MW(メガワット)で、これは標準的な家庭約900世帯分に当たるという。水上式メガソーラーでは、京セラが2015年4月に兵庫県加東市で稼働を開始した2.9MW(1.7+1.2MW)の発電能力に迫るものとなる(関連記事)。ウエストエネルギーソリューションは日本初となる水上式メガソーラーの「ソーラーオンザウォーター桶川」を稼働させるなど、水上式でのノウハウを保有。今後も施工・運営などに力を注いでいく方針だ(関連記事)(図4)。
メガソーラーは効率の良い建築用地の奪い合いの状況になっており、今まで活用されてこなかった「水上」への関心が高まっている。2016年3月には千葉県で13.4MWの発電量力のものが稼働する予定となっており、今後活用が増える見込みだ(関連記事)。
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