仙台に東北初の商用水素ステーション、1時間でFCV6台を満タンに:蓄電・発電機器
宮城県仙台市に東北地方では初となる商用水素ステーションの開設が決まった。水素エネルギーの利活用推進を目指す宮城県が支援し、岩谷産業が仙台市宮城野区幸町に建設するもので、2016年度中の完成を目指す計画だ。
ついに東北地方にも初の商用水素ステーションの建設が決まった。岩谷産業が宮城県仙台宮城野区に建設する「イワタニ水素ステーション 仙台」だ(図1)。完成は2016年度中を予定している。
同ステーションの敷地面積は約1400平方メートルを予定している。水素の供給は他の施設から液化水素を運搬して利用するオフサイト方式だ。液化水素を千葉県市原市にある岩谷瓦斯の千葉工場からローリーで輸送し、敷地内に設置する液化水素貯槽にためて利用する。
水素の供給能力は300Nm3(ノルマル立方メートル)、充填(じゅうてん)圧力は70MPa(メガパスカル)で、1時間当たり燃料電池車(FCV)6台の満充填を可能にする。
同ステーションの建設については、宮城県も建設費の補助や県有地の提供を行う。岩谷産業と宮城県は2016年4月7日に建設協定を結んだ。同県は「みやぎ水素エネルギー利活用推進ビジョン」を掲げ、FCVの普及をはじめとする水素利用を推進しており「東北における水素社会先駆けの地」を目指しているところだ。
宮城県は首都圏と東北全域をつなぐ要所である。ここにイワタニ水素ステーション 仙台が完成すれば、同県内のFCVユーザーのみならず、首都圏などから東北エリアへ移動するユーザーの水素充填拠点としての機能も期待できる。これまで4大都市圏を中心に設置が進んできた水素ステーションだが、今後全国でさらに水素エネルギーの普及を広げていく上で、東北地域にも初の商用ステーションの建設が決まったことは大きい。
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