首都圏でも一本勝負、東電より4〜6%安い関西電力に残る課題:電気料金の新プラン検証シリーズ(32)(2/2 ページ)
関西電力が首都圏向けの小売電気料金プランを発表した。関西圏と同じく1種類に絞ったシンプルな料金メニューで、東京電力の従来電灯Bより4〜6%程度安くなる料金単価を設定した。家電量販店などをはじめ多くの企業との提携戦略を進めて顧客サービスも拡充し、激選区の首都圏を攻める。
ポイントの使い道も多彩に
はぴeプラスの電気料金は専用Webサイト「はぴeみる電」を通して確認することができる。この他、よく似た他家庭との光熱費の比較や、設定した電気使用量に対するアラート機能なども備える。また、はぴeみる電では料金の他、ログイン回数や情報登録、省エネアドバイスなどのコンテンツ閲覧などに応じて「はぴeポイント」という独自ポイントがたまっていく。このポイントは商品と交換したり、関西電力の提携する他社のポイントサービスとして利用できたりなど、複数の使い道を選ぶことができる(図2)。関西電力の試算によれば一般的な家庭の場合、毎月ログインすると年間1000円相当のはぴeポイントがたまるという。
こうしたポイントサービスの他、生活まわりのサポートサービスも展開する。水まわりの設備や玄関の鍵などのトラブル時に、24時間365日いつでも無料サポートが受けられる「はぴe暮らしサポート」というサービスで、さらに国内外20万カ所にある飲食店や宿泊施設、レジャー施設などでの優待特典も提供する。こちらは月額300円が必要になるが、2017年3月31日まではキャンペーンとして月額料金が無料になる(図3)。
まずは3社と提携、課題は調達か
関西電力では首都圏における顧客開拓に向け、販売面で異業種との提携も進めていく方針だ。現時点では料金プランと同時に3社との提携を発表した。1社が大阪府に本拠を置き、首都圏にも店舗を展開してる上新電機(大阪府大阪市)だ。プロ野球球団の阪神タイガースとも提携しており、関西色の強い企業である。この他、インターネット接続事業のテンフィートライト(東京都中央区)、不動産事業の福屋ホールディングス(大阪市北区)との提携を発表している。
関西電力では当面3年間で10万件の顧客開拓を目指す方針だが、中期経営計画では電力販売量を「10年後(2025年)に首都圏を中心に100億kWh」というさらに大きな目標を掲げている。課題となるのは電力の調達面だ。この中期計画は原子力発電所の稼働が前提となっているが、再稼働の時期は不透明だ。当面の電力は子会社の関電エネルギーソリューションが持つ火力発電や卸売市場などから調達する見込みだが、LNGなどの原料価格の変動の影響も受けやすい。関西電力は東京ガスとLNG調達や火力発電所の運営・新設などで戦略提携を発表しているが、こうした新たな電源の確保および調達コストの低減が今後の戦略の鍵となる。
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