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燃料費削減を急ぐ関西電力、天然ガス利用へ火力発電所を改造:電力供給サービス
関西電力の「相生発電所」3号機のLNG転換に向けた改造工事が終了し、通常運転を開始した。これまで使用していた原油や重油より発電コストが低い天然ガスを利用することで、財務を圧迫している燃料費の削減を急ぐ。天然ガスは大阪ガスから供給を受ける。
関西電力は2016年8月18日、同年2月から実施していた火力発電所の「相生発電所」(兵庫県相生市)3号機の改造工事が完了し、天然ガスを利用した通常運転を開始したと発表した(図1)。
相生発電所は出力37.5万kW(キロワット)の汽力発電方式の設備を合計3基備えている。これまでは原油や重油で発電を行っていたが、関西電力では地球温暖化対策やコスト削減に向けて天然ガスを利用できるよう改造工事を進めてきた。既に2016年5月には1号機の改造工事を終えている。これで3基のうち2基で天然ガスが利用できるようになった。
関西電力は原子力発電所が稼働できない中、火力発電所の燃料費削減が急務になっている。特に相生発電所は2011年の東日本大震災以降、電力需要の変動に応じて速やかに稼働・停止ができる発電所として、高い稼働率を維持している。同発電所で石炭や重油より発電コストの安い天然ガスを利用できるようにすることで、燃料費を抑える狙いだ。今回の3号機には、天然ガスの受入設備や減圧設備を新設した(図2)。
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