人工知能で家庭を見守り、分電盤で家電の使用状況を推定:電力供給サービス
インフォメティスは東京電力エナジーパートナーと人工知能技術を用いた家庭内見守りサービスの提供で提携した。インフォメティスが開発した人工知能による家電分離推定技術を用い、家庭全体の電流の測定データから家電別の利用情報を抽出。この情報を活用した見守りサービスなどを提供していく考えだ。
IT関連機器開発のインフォメティス(東京都港区)はこのほど、東京電力エナジーパートナーとAI(人工知能)技術を用いた家庭内見守りサービス提供に関する業務提携を行った。
このサービスでは、インフォメティスが開発したAIによる家電分離推定技術を用い、家庭全体の電流の測定データから家電別の利用情報を抽出することが可能だ。家電分離推定技術は分電盤に小さなセンサーを1つ設置するだけで、その家庭でどの家電を、いつ、どれくらい使用されているかが推定できる技術。その測定データから洗濯、調理といった家事回数や深夜の家電使用の増加など生活の変化や、連続して家電が使用されない、またはつけっぱなしなどの異変を把握する(図1)。
これまで提供されているWebカメラなどを利用した見守りサービスとは異なり、その時に目に見える状態だけでなく、家の中での活動パターン傾向とその時間変化を見えるようにすることで、暮らしぶりを見守ることができるのが特徴だ。また、カメラを利用しないため、見守り対象者の監視されている抵抗感を低減した「ゆるやかな見守り」も実現できるとしている。さらに、専用Webアプリケーションを通じて見守り対象者の暮らしぶりを見守る側に知らせする仕組みを提供し、見守る側と見守り対象者とのコミュニケーションを促す。
同サービスではインフォメティスがAIによるサービスプラットフォームを提供し、東京電力エナジーパートナーが見守りサービスを提供する。サービスの導入に先駆けて、両社は2015年3月より約1年かけて実証実験を行い、電力情報を利用したサービスの受容性やセンサーの施工性などを300件以上のモニター家庭を対象に検証し、業務提携に至った。
インフォメティスは2013年4月8日に設立。同年7月1日にソニーからカーブアウト(企業から戦略的に技術や事業を切り出し、ベンチャー企業を立ち上げること)し、AIによる家電分離推定技術を使った事業開発を行っている。
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