日本の低炭素技術を発展途上国へ、廃棄物発電や地熱発電を拡大:自然エネルギー(1/2 ページ)
環境省は日本の強みを生かした地球温暖化対策で国際貢献を果たすため、発展途上国を支援する実行計画(イニシアティブ)をとりまとめた。合計27項目にわたる支援策のうち、日本の低炭素技術を生かしたものが10項目を占める。廃棄物発電や地熱発電、ビルやデータセンターの省エネ設備などだ。
全世界で取り組むべき地球温暖化対策に残された時間は長くない。国際エネルギー機関(IEA)が11月16日に発表した「世界エネルギー予測2016」によると、世界のエネルギー需要は2040年までに再生可能エネルギーを中心とする低炭素へ大幅にシフトしていく(図1)。それでも2100年の時点で産業革命以前の気温から2℃未満の上昇に抑えるために必要なCO2(二酸化炭素)の削減量には足りない見通しだ。
各国がさまざまな対策に取り組む中で、日本の施策を主導する環境省は発展途上国に向けた「日本の気候変動対策支援イニシアティブ」をとりまとめて11月11日に発表した。日本の強みを生かして国際的な地球温暖化対策を推進することが目的だ。
イニシアティブの実行テーマは「優れた低炭素技術の普及」や「日本の経験と事例の共有」など5つで構成している。全体で27項目にのぼる支援策のうち10項目を「優れた低炭素技術の普及」が占めていて、環境省が最も注力する分野である(図2)。
その中で第1に掲げている支援策は「二国間クレジット制度(JCM:Joint Crediting Mechanism)」を通じた低炭素技術の普及だ。日本が発展途上国を対象に、温室効果ガスの排出削減に貢献する技術やインフラを普及させるプロジェクトを実施する。その効果を定量的に評価して日本の削減目標に活用できる制度である(図3)。
これまでに16カ国を対象に、合計101件の事業をJCMのスキームで実施している。その中にはインドネシアのセメント工場の廃熱を利用した発電設備をはじめ、各国の電力供給の安定化や省エネ設備の導入を支援するプロジェクトが含まれる(図4)。それぞれのプロジェクトで削減できたCO2排出量に応じて日本の貢献が評価される仕組みだ。
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