欧州最大の蓄電システム、三菱商事とEneco建設へ:蓄電・発電機器(1/2 ページ)
三菱商事とオランダ公営のエネルギー事業会社Eneco(エネコ)は、欧州で最大規模の蓄電システムを利用したサービスを開始する。蓄電可能な容量は約5万kW、2017年末に完成する予定だ。
欧州で最大規模の蓄電システム
ドイツ北部に欧州最大規模の蓄電システムが誕生する。三菱商事はオランダ公営のエネルギー事業会社Eneco(エネコ)との出資で設立したEnspireME(エンスパイア ミー)を通じて、大規模蓄電システムを利用したサービスを開始すると発表した。
蓄電可能な容量は約5万kW、1つの場所に設置される蓄電システムとしては欧州で最大規模になるという。2017年末に完成する予定だ。ドイツを中心とした周辺諸国への予備電力市場向けサービスや再生可能エネルギー発電事業者向け出力調整サービス提供を目指す。三菱商事とEnecoが共同で運営する洋上風力発電所にも活用していく。
2015年に採択された「パリ協定」では、2030年度に温室効果ガスの排出を2013年度比で26%削減する他、2050年までに80%の温室効果ガス排出削減が目標に掲げられている(関連記事:カギは省エネ技術の再活性化、避けられない電力消費抑制の動き)。
そのため欧州では、再生可能エネルギーの積極的な導入促進策がさらに強化されている。化石燃料による発電の代替として、自然条件に左右される再生可能エネルギーが大量に送電系統に流れ込むことから、系統安定化が課題となる。蓄電池システムを導入することで再生可能エネルギー普及を後押しし、電力供給の安定化に寄与するとした。
Enecoとの長期的な戦略提携
三菱商事とEnecoは、2013年1月に欧州の洋上風力発電事業で長期的な戦略的提携を行った。Enecoが建設予定だったLuchterduinen(ルフタダウネン)洋上風力発電所の持ち分50%を三菱商事が取得し、建設・運転を両社で行ったのが始まりである。
ルフタダウネン洋上風力発電所はオランダのノルドバイク市の沖合23kmに位置する。東京ディズニーランドの5倍の敷地面積(約25km2)で、43本の風車が2015年7月から運転を開始した。出力は約13万kW、オランダ15万世帯の電力を賄う規模という。
Enecoは企業目標に「全ての皆さまに持続可能なエネルギーを!」を掲げ、三菱商事と欧州における洋上風力分野の取り組みを強化してきた。ルフタダウネン洋上風力発電所に続く案件が、ベルギー最大のNorther(ノーザー)洋上風力発電所だ。
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