KDDIと中部電力、LPWAを活用したIoT事業創出へ 中小企業のパートナーを募集:エネルギー管理(1/2 ページ)
KDDIと中部電力などは、中小企業の事業創出を目的としたIoTビジネスパートナーの募集を開始した。LPWAネットワークを活用したサービスやビジネスアイデアを募集し、共同で実証実験を行う。
IoT向け通信方式として期待されるLPWA
あらゆるモノがネットワークにつながる「IoT社会」の実現へ、各社がさまざまな動きを見せている。KDDIと中部電力、中小企業基盤整備機構中部本部、シスコシステムズは、中小企業の事業創出を目的としたIoTビジネスパートナーの募集を開始した。
IoT向け通信方式であるLPWAネットワークを活用したサービスやビジネスアイデアなどを募集し、共同で実証実験を行うことを目指す。LPWAとはLow Power Wide Areaの略で、通信速度を低速に制限することにより、低消費電力や広い通信エリア、通信端末の低価格化を実現する無線通信方式だ。独自の規格でネットワークを構築するSIGFOXやLoRa、3GPPが標準化するLTEの周波数帯を用いたNB-IoTなどがLPWAに含まれる。
LPWAによりこれまで商用電源の確保が困難だった場所、電波が届かなかったモノにIoTサービスを導入できる。例えば電源確保が難しく、電波が届きにくかった山間地や河川、農地などに電池駆動の各種センサーを設置することが可能になる。
KDDIと中部電力では応募企業と面談を実施し、採用したアイデアにLPWAネットワーク環境を無償で提供する。実用化に向けた実証実験を中部エリアで実施するという。募集期間は、2017年4月26日〜9月29日までとなっている。
シスコシステムズはLPWAネットワークの技術支援、中小機構中部は中小企業と大手企業、海外企業をつなぐWebサイト「J-GoodTech」を活用して、取り組みを支援する。
電力事業にとどまらない新たなサービスを
中部電力とKDDIの関わりは「オフィスまとめてお手伝いサービス」がきっかけとなる。KDDIまとめてオフィス中部(KDDI子会社)と中部電力が提携し、オフィスの照明やOA機器に関する提案からメンテナンスまでをサポートするサービスに取り組んできた。
中部電力の広報担当者によると、両社は新しい取り組みを模索する中で、IoT向けの通信方式として期待されていたLPWAに着目。ビジネスパートナーを募集した背景には、外部の知見を取り入れたいこと、中部エリアの活性化につなげたいことを挙げた。LPWAネットワーク環境は無償で提供するが、事業化に伴う投資などは検討中という。
中部電力の広報担当者は「電力事業に限らず、従来の枠を超えた新しいアイデアの応募を期待している」と語る。なお2017年6月15日には名古屋ルーセントタワーにおいて、中小企業向けに今回の取り組みに関する説明会を開催予定とした。
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