電柱の跡地がEV充電器に? 東電とパナソニックが地上機器を有効活用:スマートシティ
東京電力パワーグリッドとパナソニックは、無電柱化エリアに設置されている地上配電機器とデジタルサイネージした情報配信サービスの企画開発に着手する。景観改善や災害時の安全性向上を背景に、国内でも都市部を中心に無電柱化が進んでおり、今後増加していく地上配電機器を有効活用する狙い。将来は電気自動車の充電器や自動運転車へのアシスト機能なども視野にいれる。
景観改善や災害時の安全性向上を背景に、国内でも都市部を中心に無電柱化を進める動きが広がりつつある。東京電力パワーグリッド(東電PG)とパナソニックは共同で、無電柱化を行った後に残る既設のインフラ設備を有効活用する取り組みを開始した。2017年5月23日に無電柱化エリアに設置されている配電地上機器とデジタルサイネージを活用した情報サービスの提供に向けて、共同で企画開発を行うと発表した。
既設の電柱を無くす場合、配線やネットワーク回線を地中に埋設する。ただし、電柱上部に設置していた配電設備は地上に設置する必要がある。これが配電地上機器だ。東電PGは現在、サービスエリア内に約5万基の配電地上機器を保有しており、このうち約3万基が都内に設置されているという。今後も無電柱化推進の動きに伴って配電地上機器の数は増加する見込みであり、その活用方法を模索してきた。
パナソニックは2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」を見据え、デジタルサイネージを利用した情報配信の技術開発やサービス展開を推進している。そこで両社は配電地上機器とデジタルサイネージを組み合わせた「ストリートサイネージ」事業の企画開発を共同実施することに合意。機器開発やそれを利用したさまざまなサービスの実証、ビジネスモデルの構築などに取り組む。
具体的なサービスとして、まずは観光情報や災害時の避難誘導に関する情報などの配信を検討しているという。さらに将来のプランとして電気自動車(EV)用の充電器の搭載や、自動運転車と連携する機能、熱中症注意喚起など、さまざまなサービスの拡充も視野に入れる。
直近では2017年6月1日から「上野恩賜公園」(東京都台東区)にある配電地上機器1基に専用のデジタルサイネージを設置し、「うえのビジョン」として情報配信サービスの実証に取り組む。こちらは配信コンテンツの制作や提供を目的に、大日本印刷と朝日新聞社が参画する。公園内施設の案内や防災情報など、公園利用者向けの情報配信する計画だ。災害発生時には災害の発生状況や帰宅困難者への情報配信なども実施するとしている。
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